あらすじ
「お前を愛することはない」 ミケーレ第一王子は婚約者であるロミルダ・モンターニャ侯爵令嬢に言い放った。 その上ロミルダには、ミケーレ王子を消そうとしたなどという、いわれなき冤罪がかけられる。国王からの沙汰を待つ間、ロミルダは一匹の猫を拾った。猫はロミルダによくなつき、彼女の不安な心をなぐさめてくれる。 だが翌日、猫は忽然と姿を消してしまった。その数時間後、どういうわけか義母と義妹が真犯人として連行されていった。さらに「愛することはない」と言っていたミケーレ第一王子の態度が一変し、「君がいとおしくてたまらない」なんて言い出した。 ※ネタバレ注意(以下コンテスト応募規定によりネタバレを載せています) ■ キャラクター設定 ■ 〇ロミルダ・モンターニャ侯爵令嬢 15歳になったばかり。空色の髪に海のような瞳。 生まれてすぐに母親を亡くしている。優しく前向きだった母について、父や兄から話を聞くうち、母のような女性になりたいと憧れるように。いつしか理想の中の母を演じていた。 〇ミケーレ第一王子 フォンテリア王国第一王子で、ロミルダの婚約者。金髪に猫のような黄緑色の目。 美形だが冷たい青年。感受性が強く人一倍傷付きやすい性質だったが、将来の国王として厳しく育てられるうち、心の殻に閉じこもってしまった。本来は愛情深い人物だが、愛情のやり場がなく、飼い猫のディライラだけを愛していた。 しかし魔女の魔法薬で猫の姿になったことから、ロミルダの裏表のない優しさに触れ、彼女を溺愛するようになる。 〇ドラベッラ・モンターニャ侯爵令嬢 ロミルダの腹違いの妹。薄い紫の髪に緑がかった瞳。 カルロ第二王子と婚約していた。贅沢やおしゃれが大好き。 おっとりとして心優しいロミルダを馬鹿にしている。 〇アルチーナ 実は魔女だった。濃い紫の髪。 アルチーナの母親は先王の命令で命を落とした。そのためフォンテリア王国を恨んでおり、復讐のために王国宰相であるモンターニャ侯爵に近付いた。 〇ナナ 故人。本名はアルミーダ。アルチーナの母親。 〇カルロ第二王子 フォンテリア王国第二王子でミケーレの弟。 将来国王になることが決まっている兄と違って、ゆったりと育てられたため、明るく屈託のない性格。犬が好き。 〇サラ ロミルダの侍女。ロミルダが幼いころから、姉のように世話を焼いてきた。しっかり者でロミルダを大切に思っている。 〇オズヴァルド・モンターニャ侯爵令息 ロミルダの兄で妹思い。宰相として忙しい父に代わり、侯爵領の経営を行っている。 〇モンターニャ侯爵 ロミルダたちの父親。 フォンテリア王国の宰相を務め、国王からも信頼されている。最初の妻を亡くしたあと魔女アルチーナの魔法にかかり、彼女を異国の王族だと信じて再婚してしまった。 アルチーナとの間にドラベッラが生まれる。 ■ 長編化した際のプロット ■ 仮タイトル:『猫殿下とおっとり令嬢』 【一】 王宮での茶会にてロミルダは婚約者のミケーレ第一王子から、「お前を愛することはない」と言われる。王子は飼い猫ディライラを愛しているから。 それでもロミルダはミケーレ王子に手作りのお菓子を渡す。 夕方、モンターニャ侯爵邸に突然騎士団が押しかけてくる。 ミケーレ王子がロミルダの手作り菓子を食べた直後、姿を消したため、ロミルダには魔女の疑いがかけられる。 義母と義妹は、ロミルダを魔女と決めつけている。 使用人たちは優しいロミルダに味方したいが、口を出せず忸怩たる思い。使用人たちの間では、アルチーナ夫人こそ魔女ではないかという噂が流れている。彼女の部屋に掃除しに入ると、怪しい魔法薬が並んでいるのだ。 そこへ兄オズヴァルドが帰ってきて、ロミルダは捕らえられずに済む。しかし侯爵邸に軟禁状態となる。 ロミルダに対してひどい捨て台詞を残した騎士団長めがけて、突然猫が現れて引っかく。 ロミルダはその猫を拾い、ミケと名付けてかわいがる。 ミケはミケーレ第一王子の愛猫ディライラにそっくりな三毛猫だが、雄である。 ロミルダはミケを洗ったりブラッシングしたり、耳掃除したりと世話を焼く。 【二、ミケーレ視点】 ミケーレ視点で孤独だった子供時代が語られる。孤独な日々に猫をプレゼントされ、ディライラと名付けてかわいがるようになった。 婚約者ロミルダにも興味はない。なぜなら人間なんてみんな裏表があって信じられないから。 そんなロミルダが手作り菓子を持ってきた。 毒見役は、「自分が一番大事」な性格ゆえに騎士団をクビになった男。彼が菓子を食べるが何も起こらない(短編版では毒見役は登場していません)。 ミケーレが同じ菓子を口にしたら、なんと猫の姿になってしまった! これでわずらわしい人間の世界から自由になれると喜ぶミケーレ。 しかし部屋に入ってきた侍従によって、窓から外へ投げ捨てられてしまう。 風に乗って落ちた場所は、モンターニャ侯爵邸へ向かう馬車の上。 馬車に乗ってモンターニャ侯爵邸へ到着したミケーレは、猫の姿で邸の中を歩いて回り、アルチーナ夫人とその娘ドラベッラの会話を聞き、夫人が魔女だと知る。 ドラベッラがキッチンの砂糖を魔法薬にすり替えたため、ロミルダは何も知らず、魔法薬入りの菓子を作ってしまったのだ。 その魔法薬は「一番大事な物に姿を変えてしまう」効果がある。ゆえに自分が一番大事な毒見役には効かなかったのだ。 侯爵邸に騎士団が乗り込んできて、ロミルダを魔女だと言う。 真実を知っているミケーレだが猫の姿では、伝えることができない。 騎士団長に訴えようと飛び出すが、投げ捨てられてしまう。 それを抱きとめてくれたのがロミルダだった。 ロミルダに拾われたミケーレは猫好きな彼女に愛される。 優しく洗ってもらい可愛がられるうち、孤独なミケーレの心が少しずつほぐれていき、人間不信が癒されていく。 ありのままの自分を愛してもらえる幸せを満喫するミケーレ。違う自分になんかなろうとしなくていい。 「余はこのままで最高にかわいいのだ。居眠りしていても、水を飲んでいても、毛づくろいしていても、全部肯定されるのだ」 しかし猫の姿をしたミケーレは突如、王宮に戻されてしまう。 王宮の魔術師たちが転移の魔法を使ったのだ。 人間に戻ったミケーレは、王子として騎士団を率いてモンターニャ侯爵邸に向かう。本物の魔女を捕らえるためだ。 (ここまで、ミケーレ視点) 【三】 モンターニャ侯爵邸で、ロミルダは猫ミケが姿を消して悲しんでいる。 一方そのころ同じ屋敷のほかの部屋では、アルチーナ夫人が小さなロケットにはさんだ肖像画へ語りかけていた。 「かか様、王家の血は再び私の娘を通して戻るのです!」 しかしそこにミケーレ王子に命じられた騎士団が乱入し、アルチーナ夫人とその娘ドラベッラを捕らえる。 この期に及んで「魔女はロミルダだ」と言うアルチーナ夫人に、ロミルダを愛するミケーレは怒りを爆発させる。 アルチーナ夫人は夫であるモンターニャ侯爵に助けを求める。だが侯爵は宮廷魔術師から渡された魔女除けを握りしめ、目を合わせないようにしている。 ロミルダとサラは自室の窓から、騎士団に連行されていく義母と義妹を見ている。 そこへミケーレがやってくる。打って変わって優しい態度で、ロミルダに愛を語る。 溺愛っぷりに首をかしげるロミルダ。 モンターニャ侯爵は、ロミルダや兄オズヴァルド、王太子と騎士団長、それから屋敷の者を集め、自分が魔女の魅了にかけられていたことを打ち明け、謝罪するのだった。 (ここまでが概ね短編の内容) 【四】 アルチーナ夫人は娘ドラベッラと共に地下牢に入れられている。 「簡単に火あぶりになんかされてたまるかい。私のかわいい娘ドラベッラが王家に嫁げないなら、いっそのことあんな王家はつぶしてやろうじゃないか」 アルチーナ夫人のスカートの下にはいたパニエには、色んなものが隠されており、ここでは干し肉が出てくる。 牢屋の天井の明り取りの窓に干し肉を置いて、ネズミをおびき寄せようとする。 しかしネズミを追っていた猫ディライラが鉄格子のあいだをすり抜けて、地下牢に落ちてくる。 アルチーナ夫人は魔法を使って、猫ディライラと入れ替わる。 【五】 ロミルダは侯爵邸で、教育係の老侯爵ブラーニと政治の勉強中。そこへミケーレ王子がやってくる。王子や侍従、騎士団一行は昨夜、遅くなったので侯爵邸に泊まっていたのだ。 ミケーレは「そなたのそばにいたい」とロミルダを王宮へ連れてゆく。 馬車の中でミケーレはロミルダに夏、湖畔の離宮に一緒に来てほしいと言う。 王宮に到着したミケーレは、愛猫ディライラの姿がないことに気が付く。 皆で探すうち、ロミルダとミケーレは、騎士団が集まって騒いでいるのに気が付く。 地下牢からドラベッラが逃げた上、一人残されたアルチーナ夫人の様子がおかしいのだと言う。騎士団に案内されて、ロミルダとミケーレも地下牢を見に行くと、アルチーナ夫人が「ニャーン」と鳴いている。 ミケーレがハッとして魔術師を呼ぶ。 魔術師が呪文を唱えると、アルチーナ夫人は猫ディライラの姿に戻った。 猫に化けて逃げたアルチーナ夫人の行き先を探るため、先王の宰相だったブラーニ老侯爵から、アルチーナに関する話を聞く。 【六】 そのころ猫の姿で地下牢から逃げ出したアルチーナ夫人は、ドラベッラと二人、王都にほど近い宿場町まで来ていた。 猫の姿をしたアルチーナ夫人は、用を足して砂をかきかきし、道行く人に「あら、かわいい」と言われた時、人間に戻ってしまう。 服を着ていないので、 「きゃーっ、痴女が出たー!」 「騎士様、こっちです!」 と通行人に騒がれて、 「なにが痴女だ! 私は魔女だ!」 と憤慨する。ドラベッラに手を引かれて逃げるうちに、子供時代に母に手を引かれていた光景を思い出す。 アルチーナの母は、ナナと名乗る高級娼婦(クルチザンヌ)で、先王の寵愛を受けていた。しかし流行り病(天然痘)に罹患し、一命を取り留めたものの、顔にはあばたが残ってしまい、高級娼婦として生計を立てられなくなった。 ナナは先王の血を引く娘のアルチーナを連れ王宮に出向く。門前払いされるが、毎日出向き強請(ゆすり)のような行動を繰り返したため、秘密裏に殺されてしまう。 残されたアルチーナは、やがて王家の手の者により母が殺されたことを知る。生前母親が、「お前は王女なのに」と繰り返していたことを思い出し、母親の願いを叶えるために王家を乗っ取ろうと考える。そのために錬金術や黒魔術を学んで魔女となる。 【七】 ブラーニ老侯爵がミケーレやロミルダに、過去のナナ殺害の件を打ち明けている。 殺し屋を雇う手配をしたのは、当時宰相だったブラーニ老侯爵だった。 地下牢から逃げた魔女がまたミケーレ王子をねらうかも知れないので、今年は例年より早く湖畔の離宮へ避難することとなる。 ミケーレは溺愛するロミルダと離れたくないので、彼女を連れて行きたいと主張した。それでロミルダも湖畔の離宮へ同行する。 しかし離宮行きは魔女に知られてしまう。アルチーナ夫人は魔女らしくほうきに乗って、ドラベッラと共に離宮のある避暑地へ向かう。 ミケーレ王子は王都から離宮までの道すがら、ロミルダに愛情を振りまいているが、ロミルダはおっとりしているので気付かない。 【八、ミケーレ視点】 ロミルダや王子たち一行は離宮に到着する。 しかし魔女アルチーナの罠にかかって、二人の王子はまた「一番大事な物」に姿を変えられてしまう。 ミケーレ第一王子は前回と同じく三毛猫の姿に。 カルロ第二王子は、両親(国王夫妻)からプレゼントされた懐中時計になった。 魔法薬で姿を変えられた二人の王子は、魔女がアジトにしている水車小屋に隠される。 アルチーナ夫人と行動を共にしているドラベッラは、水車小屋での生活に辟易していた。彼女は華やかな貴族の生活が恋しかった。 猫の姿になったミケーレは、懐中時計になった弟を救出して脱走を試みるが失敗に終わる。弟はあきらめて、とりあえず一人(一匹?)で水車小屋から逃げ出す。 離宮の近くまで走ってくると、騎士団が王子二人を捜索している。 彼らを水車小屋まで案内しようとするが、猫なので話が通じず、離宮に戻される。 猫の姿で離宮に戻ったミケーレは、ロミルダにマッサージしてもらい、幸せいっぱいである。 翌朝、猫ミケ(実はミケーレ)と心が通じるロミルダは、猫に誘われて水車小屋まで来る。 しかし魔女アルチーナと娘ドラベッラは逃げたあとだった。 それでもアジト内を捜索し、猫ミケが、床に落ちたダイヤをみつける。 またベッドではイヤリングが見つかる。ロミルダが、ドラベッラのものだと気付く。 床に落ちた小さなダイヤを離宮に持って帰って王妃殿下に見せると、懐中時計に嵌まっていたものだと気が付く。 王妃は、魔法薬でミケーレが変身したことを知っているので、おそらくカルロは懐中時計になったと確信する。 同時に今、目の前にいる三毛猫が息子のミケーレだと気付く。しかし離宮には宮廷魔術師を連れてきていないので、すぐに元の姿に戻すことはできない。 王妃は、厳しく育てたミケーレが自分に心を閉ざしてしまった後悔を、ロミルダに語る。ロミルダのひざの上には猫になったミケーレがいる(王妃は息子に打ち明けたい愛情を語っている)。 【九】 魔女の娘ドラベッラが、母親を裏切って離宮にやってくる。カルロが姿を変えた懐中時計を差し出し、魔女の所業を報告する。 カルロである懐中時計については真実を話したドラベッラだったが、ミケーレ殿下については知らないと嘘をつく。ミケーレ第一王子が猫のままなら、カルロ第二王子が王太子となり、その婚約者である自分が王太子妃になれると考えているからだ。 しかし王妃は猫がミケーレだと見抜いているので、ドラベッラが嘘をついていると見抜き、離宮の屋根裏部屋に幽閉する。 ドラベッラは屋根裏部屋から毒の吹き矢で、猫になったミケーレを狙う。第一王子を亡き者にする計画だ。 吹き矢は風にあおられ逸れたように見えたが、猫ミケがロミルダをかばって吹き矢に当たってしまう。 意識を失う猫ミケを抱きしめて取り乱すロミルダ。 そこへ王妃の侍女がやってきて、「ロミルダ様の三毛猫さんを王妃様が探しております」と申し上げる。王都から宮廷魔術師が到着したので、王妃は猫をミケーレに戻そうと思っていたのだ。 毒矢でぐったりとした猫ミケを一目見るなリ、王妃は真っ青になる。 猫の小さな身体では致死量の毒も、人間のミケーレに戻れば大した威力ではない。 魔術師が猫ミケをもとに戻す術を使っている間に、ロミルダは王妃に何が起こったか質問され、毒の吹き矢が屋敷の方から飛んできたことを話す。 部屋に戻ってしばらくすると、ドラベッラの大騒ぎする声が聞こえる。何事かと思い声のするほうへ急ぐと、ドラベッラが騎士団に引き立てられている。 事情を尋ねると、王太子殺害未遂罪で罪人として村に引き渡されるらしい。 ドラベッラが吹き矢を使った犯人だと知ったロミルダは、初めて怒り、ドラベッラの頬に平手打ちをする。 しかし「王太子殺害未遂」という言葉と、毒の吹き矢の件は、まだロミルダの頭の中で結びつかず、ミケが王子だとは気付かない。 また部屋に戻ってから、猫は助からなかったと王妃の侍女が伝えに来る。 ロミルダは泣き出しそうになるが、そこへ人間に戻ったミケーレが姿を現す。まだ毒の影響で顔色が悪いミケーレは、ロミルダにはっきりと告げる。 「ミケは生きている。ただ、今は会えないだけだ」 悲しむロミルダに、静かに寄り添ってくれるミケーレ。ロミルダは不思議と癒されることに気が付き、まるで猫のミケが隣にいてくれるようだと感じる。 ミケーレがロミルダを優しくなぐさめ、愛を示すシーン。 懐中時計にされていたカルロ第二王子も元の姿に戻る。 【十】 二人の王子が元に戻ったので、一行は湖畔の離宮から王都へ戻る。離宮が魔女に見つかってしまった以上、むしろ王都の王宮の方が守りが固く安全だからだ。 果たして魔女はどこへ逃げたのか? 十年以上同じ屋敷で過ごしてきたロミルダも、継母を異国の王女だと信じてきたため、彼女の交友関係は知らない。 だが王宮の物置部屋には、魔女の母ナナの形見の品がしまわれている。先王の愛人だったから、捨てられなかったのだ。 使用人に見とがめられないよう深夜、ロミルダとミケーレ王子はこっそり遺品を見に行く。魔女アルチーナの親戚が分かるかもしれないと淡い期待を込めて。 物置部屋で初めて、ロミルダはナナの肖像画を見る。 翌日昼、ロミルダとミケーレ王子は宮廷魔術師から、魔女がモンターニャ侯爵邸に残して行った魔法薬の説明を受ける。自分の身を守るため、王族も魔女が作る魔法薬の知識を持たねばならないからだ。 その日の夕方、ロミルダとミケーレ王子がテラスでハーブティーを飲んでいると、猫のディライラが空を見て威嚇し始めた。夕空に浮かんでいたのはほうきに乗った魔女だった。 中庭に降り立った魔女は井戸に魔法薬を混入した。 報告を受けた衛兵がやってきて魔女を捕らえようとするが、魔女は魔法で応戦する。モンターニャ侯爵邸で捕まったときは魔法を使えないふりをしていた魔女だったが、今回は本気を出して抵抗する。衛兵たちは全く太刀打ちできない。 ロミルダは魔女を止めるため、変身の魔法薬を使って肖像画の中のナナの姿になる。宮廷魔術師の講習を受け、魔女が残していった魔法薬の効果を学んだのが役に立った。 魔女アルチーナの亡き母の姿で現れたロミルダは、 「わが娘よ、もう復讐に生きるのはおやめなさい。私が望んでいることはただひとつ、お前自身の幸せなのだから」 と伝える。 実の母を覚えていないロミルダは、理想の母親像を演じていた。もしお母様が生きていらっしゃったら、きっと私の幸せを一番に願ってくれるはずだと信じて訴えると、魔女アルチーナは涙を流して改心する。 「でも私はすでにたくさんの罪を犯してしまった。今から幸せになることはできない。処刑される未来が待っているだけだ」 と言う魔女にミケーレ王子が、 「お前の義理の娘ロミルダが、お前を処刑しないでほしいと嘆願した」 と伝える。ミケーレ王子はロミルダの願いを受けて、父である国王に魔女を火あぶりにしないよう頼んでいたのだ。 魔女アルチーナは、 「私はあの子にずっとつらく当たっていたのに、こんな優しさをくれるなんて!」 と過去の行いを悔いる。 ロミルダの奮闘により魔女は改心した。火あぶりを免れた魔女は、北の塔の最上階に幽閉されるにとどまる。持っている魔法の知識を魔導書に書き起こし、宮廷魔術師たちを指導するという条件付きで。 ロミルダのおかげで命を救われた魔女は、いまやロミルダを実の娘のように大切にしている。 ずっと母親が欲しかったロミルダは、血はつながらないけれど優しい母と過ごせるようになったのだ。 魔女の危機が去った王国で、ロミルダとミケーレ王子は婚姻の儀をあげる。 王太子妃となったロミルダに、ミケーレ王子は真実を告げた。ロミルダが可愛がっていた三毛猫ミケは自分だったと(短編版の最後のシーン)。