あらすじ
都心からバスを乗り継ぎ、かけること三時間。
カチコチになった尻と体を解放してやれることに喜んだのも束の間。
この険しい山道には参った。
しかし、木にロープで結びつけられた矢印看板を見た瞬間、その疲れも吹き飛んだ。
俺の趣味は野湯巡り。
と言っても友人から教えてもらったばかりで山登り自体、初心者だ。
それゆえ、念入りに備えはしたが、それも今は不要。
矢印の通りに曲がり、少し進むと硫黄の香りが濃くなり
さらに林の奥に立ち昇る湯気が見えた。
俺は一応、念のために岩陰に荷物と服を隠し
生まれたままの姿で足元に気をつけながら野湯へ向かった。