あらすじ
りんどう姫。梧桐院竜胆。 私立桜桐学園、中等部二年生。 眉目秀麗、次期オリンピック代表候補、成績はトップクラス。 完全無欠の、女帝さま。 そんな彼女の側には、幼馴染で許嫁の、冬夜くんがいつでも控えていて。 みんなは噂します。冬夜くん、いつもお姫さまに尽くさせられて、かわいそう。 でも、ね。 りんどう姫が、姫でいるためには、冬夜くんが必要なんです。 なぜなら……。 ※以下、応募規定により記載 ※ネタバレ注意 ◆ キャラクター設定 梧桐院 竜胆(ごどういん りんどう) 主人公。十四歳、女性。学園の女帝と呼ばれる、強気で完璧な女王女子。いつでもそばに、幼馴染で許嫁の真備 冬夜を連れ歩いている。水泳の飛び込み競技では次期オリンピック代表と目されている。しかし実は、その内面は気の弱い、自己肯定感ゼロの面倒女子だった。冬夜が視界にいるときにだけ、無敵になることができる。家は古くから続く神社で、政財界に影響力を有し、学園の出資者でもある。ウルフカットのやや明るい髪色。 真備 冬夜(まきび とうや) 十四歳、男性。竜胆の幼馴染で、生まれながらの許嫁。幼少時から竜胆の「めんどくささ」に気がつき、陰に日向にサポートし続けてきた。そのために現在では、竜胆は冬夜なしでは通常のちからを発揮できなくなっている。陸上競技とサッカーが得意。勉強は中程度。特技は料理、掃除、離れていても竜胆の考えていることがわかること。短めのツーブロック。 高階 花奈(たかしな かな) 十四歳、女性。竜胆の隣のクラスで、水泳部のエース同士。竜胆を小学生時代からライバル視し、同じ学校に入学。なにかと衝突するが、実は竜胆に憧れている。竜胆より十センチほどたかい身長。得意科目は数学。 川森 芽衣(かわもり めい) 十四歳、女性。竜胆とおなじクラス。華のある容姿で小学生時代からぶいぶいいわせてきたが、花奈に誘われて桜桐学園に入学、竜胆の圧倒的なカリスマの陰となってしまった。水泳は苦手。特技は歌。実は竜胆とおなじタイミングで、芸能界から誘いを受けていた。明るい色味の、背中のなかばまでの髪。 梧桐院 大海(ごどういん たいかい) 竜胆の父。四十歳。古代から続く梧桐院神社の神主、私立桜桐学園理事。二メートル近い身長、厚い胸板。柔道と居合道の達人。常に狩衣姿。竜胆を溺愛する、過保護でめんどうな父。 梧桐院 紗衣(ごどういん さえ) 竜胆の母。三十五歳。著名な画家。匂い立つような色香を有する妖艷な美女。夫の大海とは熱烈な恋愛結婚。竜胆はもちろん愛するが、心配している。 ◆ 長編化した際のプロット ◯ 第一部(本作) 竜胆は「りんどう姫」と呼ばれる、学園の女帝。あらゆることに完璧。だが、常にそばに幼馴染で許嫁の冬夜がいる。みなは冬夜を、竜胆に従う従者として扱っていた。しかし、実は竜胆は、冬夜が視界のなかにいるときにだけ無敵になれる、わけあり女子だった。 竜胆をライバル視する花奈から挑戦を受け、得意の飛び込み競技で勝負をすることになってしまった竜胆。冬夜も側にいる手筈だったが、施設故障のために男子がプールの外に出されてしまう。冬夜の姿が見えないため、飛び込みをすることができなくなってしまう竜胆。 勝負を諦めようとしたとき、冬夜が大声で竜胆に呼びかける声が聞こえた。それをきっかけとしてふだんの力を取り戻し、美しい試技を行った竜胆。勝負に負けたことをみずから認めた花奈は、悔しがりながらも、復活したライバルの強さを認めるのだった。すべてが終わった後、水着姿で冬夜に抱きつく竜胆。 ◯ 第二部以降(各部1万文字程度) ・各部とも、第一部と同様に、竜胆の「めんどくささ」と冬夜の「溺愛」を発端とするできごとやトラブルなどをコミカルに、ときおりほろっとさせつつ描写。 ・調理実習。竜胆は料理が極端に苦手で素材の名前もしらない。しかし今回も勝負のような状況となり、冬夜と目で会話したり冬夜がモノをすり替えたりなどのスパイ映画的な技でなんとか乗り切り勝利する。だが、完成した料理の味は、お察しなのだった。竜胆は強がりながら涙目で平らげ、颯爽と別室に消え、倒れ伏す。 ・修学旅行。京都にゆく。冬夜と行動していたが、冬夜の袖と思って掴んでいたのが外国人の巨漢観光客のもので、そのまま道に迷ってしまう。竜胆を小学生と思った観光客は警察へ連れて行こうとするが、それを「お変態」と理解した竜胆が大騒ぎして逃げ回る。追いかける外国人。騒ぎを察知する冬夜。りんどうになにをする! 的に勘違いし大変なことに。最後は二人が土下座。なぜか、みなでいっしょに甘味処へ。 ・竜胆が熱を出す。冬夜が見舞いにゆくが、竜胆と同様にめんどくさい父、大海が現れ、冬夜にめちゃくちゃな試験を命ずる。息も絶え絶えに試験をクリアして竜胆のもとにたどり着く。頬を赤らめ眠る竜胆。冬夜が顔を近づけ……だん! ふすまが開いて大海が現れる。背から闘気が沸き立っている。冬夜の危機。だが母であり、著名な画家である紗衣が現れ、ぜんいん一喝。しかし今度は冬夜が紗衣に気に入られてしまう。モデルにするから脱げ! 家族もみんな、めんどうだなあ、で締め。 ・ねこをひろう。弱ったねこを学校帰りに見つける。竜胆は凄まじいねこ好き。しかし、凄まじいねこアレルギー。くしゅんくしゅんいいながら世話をし、倒れそうになる都度、冬夜が充電。小さい頃の、少し切ないねこエピソードが明かされる。やがて回復し、ちょうどそのころ、飼い主さんが現れる。いやいや言う竜胆を冬夜はぎゅっとして言い聞かせる。涙とお鼻ですごいことになったお顔で、竜胆は頷く。別れ。泣けるシーンとする。冬夜が、に、にゃあ、とねこの真似をする。へ? となる竜胆。冬夜、顔まっかに。 ・文化祭。お化け屋敷。竜胆はおばけが超にがて。が、なぜかヒロイン? の美しいおんなゆうれいを演じることに。冬夜は座敷わらし。準備の間も竜胆は数十回気絶する。冬夜がなんとか助けつつ当日を迎える。お客さんがきゃーきゃー言うたびに竜胆も気を失う。都度、声をかけ、駆けつけ抱きしめ、冬夜の写真を手に握らせ、抜け出してお客さんに混じってきれいだなあと声をかけ。文化祭終了後、やっと終わったあと竜胆が冬夜を探すが、廊下の隅で疲れ果てて倒れ伏した冬夜の顔は……きゃああああ! ・夏休み。水泳合宿を兼ねたサマースクール。いつも現れる冬夜も体験入部をすることに。が、実は泳げない。竜胆、めずらしく、にんまり。今日はわたしが助けてあげる! とばかりにいろいろ特訓をする。が、最後、冬夜が足をつって水に沈んでしまう。助けあげる竜胆。意識がない冬夜。とうやあああ! が、それは冬夜の演技。えへへ。竜胆、ぱちーん! ・夏祭り。冬夜とデート。浴衣。花火。竜胆の横顔。唇には、薄紅。もちろん常に溺愛している冬夜だが、今夜の竜胆は、おとなの女性の入り口にたっている。別のひとにみえた。口を聞けなくなる冬夜。ん? と竜胆が顔を覗き込む。目をそらす。ん? そらす。繰り返し。むう。怒る竜胆。と、花火。どーんという音に竜胆はびっくりし、涙目に。すると冬夜も元に戻り、抱きしめる。ほっとする冬夜。が、胸のなかにいままでと違う感情が生まれたことに、まだ気づいていない。 ◯ 最終部(1万文字程度) 三年生になる。クラス替え。ところが、竜胆と冬夜は別のクラスに。パニックになる竜胆。冬夜がくちごもっている。どういうこと! 冬夜は竜胆の父、学園の出資者であり理事である大海に、竜胆と別のクラスにするよう申し出ていた。それを聞き、竜胆はショックのあまり学校を飛び出して行ってしまう。見送る、冬夜。おい、いつものように追いかけないのか? なにもいわない冬夜。踵を返す。夕方になり、冬夜の家の呼び鈴に手をかけ、立ち去る竜胆。窓から冬夜が見下ろしている。口をきかないまま、数日。竜胆はずっと塞ぎ込んでいる。それでも、もう冬夜がこちらを向いてくれない、という現実となんとか闘い、ほんの少しずつだが、前を向く。泳げないでいたが、泳ぐ。自分で包丁を握り、弁当をつくる。友人にも自分から話しかける。 ある日、遅くなった下校。冬夜が立って、待っていた。 ……どうしたの。なにか、ご用事。 冬夜は、じっと、竜胆の目をみている。その目は、以前の、保護者の目ではなかった。 ひとりの、男子。 冬夜はゆっくり踏み出し、竜胆の前にたって、言った。 僕と、つきあって、ください……竜胆、さん。 差し出された手を、竜胆は、握り返せない。 顔がくしゃっと歪みかけたが、すぐに戻る。 横を向く。 涙があふれそうになっているが、全力でがまんしている。 ……だいすきだよ、竜胆。 がまんは、終了した。 ふええ。ふえええええ。えええええええっ。 くっついた二つの影が、校庭にながくながく、伸びている。