あらすじ
カドカワ読書タイム短編児童小説コンテスト 児童向け恋愛小説(溺愛)部門 応募作品 【あらすじ】 ミアの婚約者ウィリアムは、常に不機嫌で冷たい態度を取っていた。 しかしある日突然、ウィリアムはミアに対する態度をがらりと変え、熱烈に愛情を伝えてくるようになる。 ウィリアムは、ミアが呪いで目を覚まさなくなってしまう三年後の未来からタイムリープしてきたのだ。 ウィリアムは、ミアへの想いが伝わらずすれ違ってしまったことを後悔して、今回の人生ではミアを全力で愛し、守ることを誓った。 最初は不気味がっていたミアも、真っ直ぐなウィリアムに好意を抱き始める。 そんな中、ミアの特別な能力が開花し、ウィリアムは逆行前の未来で起きた事件の真相に近付いていく――。 ※ネタバレ注意 児童向け小説として、敷かれたレールから外れようともがく少年少女の心の機微と成長を描けたらと思っています。 【キャラクター紹介】 ◯ミア・ステラ・エヴァンズ 14歳。銀髪、海色の瞳。ある世界線で、事件に巻き込まれて覚めることのない眠りに落ちてしまう。婚約者のウィリアムとは冷め切った関係で、出来れば婚約から逃げ出して自由になりたいと思っていた。聖女の血筋で呪いが見える体質。拾い子のため、家族も本人も聖女の血筋だとは知らない。 ◯ウィリアム・ルーク・オースティン 16歳。黒髪、夕焼け色の瞳。ミアが眠りに落ちてしまった世界線で魔女の秘薬を飲み、逆行転生してきた。転生前は魔法騎士、転生後は間もなく入団試験を控えている。転生前はミアを愛していたのに誤解されるような態度を取っていた。そのことを後悔しているため、転生後は全身全霊で溺愛してくる。魔法の研究が趣味。 ◯エヴァンズ子爵 14年前、行き倒れていた女性が抱えていた赤子を拾い、ミアと名付けて我が子として育てた。 ◯オースティン伯爵 ウィリアムの父で、魔法騎士団長。 ◯ターナー男爵 骨董品店で購入したアクセサリが呪われていて、自身に呪いが移ってしまっていた。教会に行くようミアに言われて一命を取り留めたが、ミアの「呪いが見える能力」を外部に漏らしてしまう。 ◯アイラ ミアの侍女。長年エヴァンズ子爵家に勤めていて、ミアも深く信頼している。 (以下、短編には出ません) ◯サンディ エヴァンズ家の新人メイド。ターナー男爵の情報を手に入れた教会が遣わしたスパイ。故意に弱い呪いを身にまとい、呪いが見えるというミアの能力が本物かどうか試そうとする。 ◯デザンジュ教皇 魔族の呪いを物に閉じ込める術を身につけている。その能力を使って呪いをばら撒き、聖女を独占し高額のお布施で解呪を請け負うことによって、ボロ儲けしている。 ◯アスモルディス 魔族のひとり。教皇を陰で操り、呪いを広めて王国を混乱に陥れようとしている。数人を残して滅ぼされてしまった魔族の復興と、人間への復讐が目的。呪いを物に込める方法を教皇に教え、魔族の呪力を分け与えた。 【長編化プロット】 エヴァンズ子爵家の令嬢ミアは、オースティン伯爵家の子息ウィリアムと幼い頃から婚約を結んでいた。 それは家同士が取り決めた婚約で、ミアもウィリアムも互いに興味がなく、恋愛感情も友愛の情も持っていない冷たい関係だった(実はウィリアムの方はミアを愛していたが、上手く伝わっていなかった)。 だがある日突然、ウィリアムのミアに対する態度が変わり、溺愛してくるようになった。 実はウィリアムは、ミアを守りたいという強い思いを持って、ミアが呪いで覚めることない眠りに落とされた世界線から逆行転生してきたのである(まだミアには明かさない)。 *ウィリアムの回想 ウィリアム19歳、ミア17歳の時、王城前広場で開かれた大きな式典。 ある一団が魔法騎士団を狙って、暴動を起こした。 ウィリアムに向けて呪いの矢が放たれ、ミアはウィリアムをかばって呪いを受けてしまう。 ミアは、一命は取り留めたものの、呪いによって覚めることない眠りに落ちる。 この時ウィリアムとミアは婚約者として冷め切った関係で、ミアはこの婚約から逃げたいとさえ思っていた。 呪いを受けたミアの、「これで私もあなたも自由になれる」という言葉を聞いて、ウィリアムは激しく後悔する。 ウィリアムはミアを愛していたのに、忙しさのあまり一緒にいてやれず、愛を注いであげられなかった。 その上、全く興味のない令嬢との不本意な噂が流れていたのに、面倒だからと放置してしまっていたのだ。 ウィリアムは今度こそミアに惜しみない愛を伝えること、そして呪いからミアを守ることを誓い、魔女の秘薬を飲んだ。 そうして三年前に逆行転生したウィリアムは、早速ミアに会いに行くことにしたのだった。 ミアはウィリアムのこの変化を喜ぶのではなく不気味に思い、しらけた態度を取る。 それでも挫けずにミアに甘い態度を取ってくるウィリアムに、態度が変わった理由を尋ねるも、はぐらかされてしまう。 ウィリアムはミアの元を訪れるたびに、趣味の『魔法』についての話をミアに聞かせる。 ミアはウィリアムと過ごすうちに、今まで興味のなかった魔法について興味を持ち、「魔法騎士になってミアを守る」と真っ直ぐに誓ったウィリアムにも好意を抱き始める。 ある時、ミアは屋敷を訪れた父の友人・ターナー男爵に、うっすらと黒い靄がまとわりついているのを見た。 後日ウィリアムに黒い靄のことを話すと、ウィリアムは魔族の『呪い』とそれを浄化する『聖魔法』について教えてくれた。ミアは呪いが見える体質だったのだ。 ターナー男爵にかけられている呪いを解くには、聖女の血筋だけが使える聖魔法が必要である。 ミアはターナー男爵が再び屋敷を訪れた際、教会に行くよう助言する。 普通は見えない呪いをミアが看破したことに感激したターナー男爵は、教会で解呪を受けながら、ミアの情報を教会に話してしまう。 長年聖女の血筋をきっちり管理し、利益を独占してきた教会は、市井に聖女がいることを許さない。 教会はミアの能力を調べるために、事前に弱い呪いをかけたスパイ・サンディをエヴァンズ子爵家に派遣する。 ミアはサンディに教会に行くよう促そうとしたが、それを察知したウィリアムが口止めし、匿名の手紙という形でサンディに知らせることにした。 その手紙が功を奏して、一旦危機を脱するものの、教会の疑いは完全には晴れない。 教会はエヴァンズ子爵家に、呪いがかけられたミア用の靴を匿名で送りつける。 ミアに呪いをかけて教会を訪れるよう仕向けたのだが、ミアは呪いが見えるので靴を履かなかった。 ウィリアムに相談すると、教会から狙われているかもしれないことを告げられ、呪いを自力で解呪出来るよう、聖魔法を密かに学ぶことを勧められる。 一方ウィリアムも、逆行転生前の世界線で呪いの矢が狙っていたのは、自分ではなくミアなのではないかという疑いを持ち始めていた。 呪いを解くのは聖女にしか出来ないが、そもそも魔族が滅んだはずのこの世界では、呪いの発生源がわかっていないのだ。 呪いの発生源も教会にあるのではないかと疑ったウィリアムは、ターナー男爵がアクセサリーを買った骨董品店や、ミアに贈られた靴を卸している商会などを辿ろうと、魔法騎士団の団長をしている父・オースティン伯爵と共に密かに調査を開始する。 ミアとデートを装っていくつかの商店を調査した結果、アクセサリーや靴に呪いを込めていたのはやはり教会だという疑いが強まった。 だが、これ以上の調査は自分たちの身も危険であり、ウィリアムとオースティン伯爵は一旦調査を中断する。 一方ミアは、デートを重ねることで、ウィリアムへの恋心を自覚していく。 それとともに、聖女としての力も徐々に強まっていくミア。 気がつけば、屋敷の人たちの簡単な怪我や火傷などを治してしまえるようになっていた。 ミアは、この力を隠すのではなくて、大事な人たちのために役立てたいと思うようになる。 ウィリアムは、引き続き呪われた品が贈られてくることに懸念を募らせ、ミアを魔法騎士団で保護してもらうことを提案。 贈られてきた品物の呪いを解いたり、屋敷の人たちや魔法騎士団員の怪我を治したりしているうちに、いつしかミアの力は、教会に管理されている聖女たちよりも強くなっていた。 魔法騎士団は、怪我をしてもすぐに治してくれるミアのおかげで、ぐんぐん実力を伸ばしていく。 いつしか魔法騎士団は教会に所属する神殿騎士団にも負けないほどの実力を手にし、魔獣討伐などで名声を上げていく。 また、ミアと魔法師団の協力により、呪いの付与が普通の人にも分かるようになる魔道具を開発。 ミアは国王にも認められ、魔法騎士団への正式な在籍を認められる(その力は国家機密扱い)。 面白くない神殿騎士団と教会は、魔法騎士団を秘密裏に調査する。 魔法騎士団のミアの存在に気付いた教皇は、ミアを表に引きずり出すために様々な策を講じる。 この頃教会は、先日開発された「呪いを見破る魔道具」によって呪いのアイテムを街にばら撒けなくなり、収入が激減していた。 教会によって厚遇され、豊かな暮らしを満喫していた聖女たちも、扱いが粗雑になってきたことで教皇に不満を持ち始める。 ラストシーン(オープニングから三年後)は、王城前広場で行われる大きな式典の日。 逆行転生前に呪いの矢を受けた、因縁の日である。 呪いの矢が飛んでくると予測していた魔法騎士団は、教会を脱走したがっていた聖女たちを解放し、魔法騎士団に紛れ込ませていた。 ウィリアムは飛んできた呪いの矢を魔法と剣で打ち落としていくが、他の団員や式典参加者が数人、呪いや傷を受けてしまった。 ミアと聖女たちは治療に専念し、無事な騎士団員たちで刺客を全て捕える。 刺客も捕まり安心したところに、教皇自らが、魔族の力を込めた強力な呪いの矢を放つ。 ウィリアムは自らの身体を盾にしてミアを庇う。 ウィリアムはカウンターで教皇に魔法を放つと、倒れてしまう。 強い呪いに騎士団員たちや、他の聖女たちが絶望する中、ミアだけは諦めない。 ミアの深い愛がもたらす聖魔法の力で、ウィリアムを蝕む強力な呪いも、深い傷も全て癒される。 聖魔法の力は、自身が「守りたいと思うもの」への愛の深さによって強まっていくのだ。 後日、呪いをかけていた教皇が捕まる。 教皇を操ろうとしていた魔族は、どこかへ姿を消してしまう。 ミアが18歳になったその日に、ミアとウィリアムは結婚してハッピーエンド。