あらすじ
「なんで俺が弟の影武者なんぞ……ッ! 俺はただ自堕落なスローライフを満喫したいだけなのにッッッ!!!」 「はいはい、変なこと言ってないでさっさと助けに行くわよ」 ───英雄、と呼ばれる存在がいる。 この世で八人しかいない魔術師。国を動かしてしまえるほどの力を持つ一人で、誰彼構わず助けを求められれば手を差し伸ばしてきた。 民は英雄を慕い、敬愛し、他国は英雄の存在を恐れている。 だが、そんな英雄がある日……女の子を庇った際に倒れてしまった。 意識不明、いつ目を覚ますか分からない。 そんな時、国は考えた─── 「双子の兄であるあなたを影武者にしようってね」 「顔は似てるけどドラ息子って呼ばれてるんですが大丈夫ですかねその判断!?」 双子の兄であるクロ・アロイツ。 日夜遊び続け、女癖も悪く、弟に反してすこぶる評判が悪い。 だけど、英雄が倒れてしまったと知れ渡れば他国がどう動いてしまうか分からない。 故に、苦渋の決断ではあったのだが、王国は影武者を立てることに決めた。 しかし─── 「流石は最強の魔術師さんね。盗賊も簡単に倒せちゃう」 「……呑気な解説なんかしないで手伝ってくれよ。こっちは弟の尻拭いから始まるタダ働きなんだ」 実はこのドラ息子、八人しかいない魔術師の中でも最強クラス。 英雄と誤魔化すために続けなければいけない人助けも、幼馴染のシェリーと共になんなくこなしていく。 とはいえ逃げて遊んで暮らしたい。けど逃げられない。 そんな状況の中、影武者として人を助けていくうちに王族や令嬢、更には弟が助けたことのある聖女すらもやって来てしまう。 ───これは、英雄を弟に持つドラ息子が英雄の代わりになる話。 そして、誰かを守るために拳を握る物語である。 「英雄みたいに誰彼構わず手を差し伸べたくない……だが、それでも守りたい者だけは死んでも守る。俺はそんな人間ってだけだ」