あらすじ
これは、人生の喜びすべてを奪われた少女の、復讐の物語。
神聖教の本拠地である神聖領。領主の娘、マルティナは世界樹の神子に選ばれて人々に癒やしの奇跡を施していたが、力を失うと見捨てられ、その後に反逆者として処刑された。処刑の寸前、神子に選ばれたこともすべて実の妹のレーネが企んだことだったと知らされて、絶望と共に死刑を執行されたマルティナだったが、死んだ瞬間に自分が白い空間に入ったことに気がついた。その空間には黒ずくめで赤い目の男が一人いて、自分のことを悪魔だと言った。
契約するならば力を貸す、その力で復讐するといい、という悪魔の甘い言葉に、マルティナは抗うことができない。
「わたしが望むのは、復讐と鉄槌。レーネにわたしと同じ苦痛を味わってもらうまで絶対に立ち止まったりしない。この気持ちを狂気と呼ぶのなら、わたしはいくらでも狂ってやるわ」
そして、マルティナは悪魔の力で十年前に舞い戻った。世界樹が神子を選ぶ前、何もかもが平和だった少女の時代。
だが『今回』は『前回』とは違う。無垢に自分を慕ってくれていると信じていた妹は、自分に殺意を向けていると知っている。
妹は自分を罠に嵌めた。誇りも、恋も、命さえも、全てを奪ったレーネに『今回』は、かつての自分と同じ気持ちを味わってもらう、とマルティナは決意する。
妹の仕掛けた罠。世界樹が選ぶ神子。悪魔と魔法を禁じた神聖教会。神聖領の自治を疑問視する若き大公。陰謀渦巻くこの土地で、マルティナは最後まで自分の信念を貫き通せるだろうか。そして悲願が果たされたそのとき、悪魔ラウルはマルティナに何を告げるだろうか。