あらすじ

米国で溺死体を引き上げる男。 夫の不倫に悩み相談に来る女。 香港から日本、米国にまたがる不可解な連続溺死事件。 美しく魔性の男の存在。 ──すべての因縁は、かつて中国王朝で栄華を誇った王族の末裔に繋がる。 『彷徨《さまよ》える王』 【あらすじ】 黒城櫻子、35歳。 離婚専門の弁護士として戸隠法律事務所で働き、私生活では同じ事務所の先輩である五月端道隆と同棲している。 彼との優しい関係に不満はない。結婚に踏み切れない理由は19年前に消えた兄への思いを引きずっているからだ。 兄の名前はジオン。思春期をともに過ごしたジオンは美しく中性的な魅力にあふれ、誰もが強く惹きつけられるカリスマ性があった。 子供時代、櫻子の育った家庭は複雑だった。 優しくおおらかな母。母が事実婚をしていた義父。その義父が香港からつれてきた飛び抜けて美しく神秘的な少年ジオン。彼らは、それでも仲良く穏やかな時を過ごし、幸せな家族として五年の歳月を過ごした。 櫻子が17歳の時、事件が起きた。 暴漢に襲われた櫻子を救うために、ジオンが相手を半殺しにした。警察につかまる兄、しかし、事態は思わぬ方向へ。 数日後、暴漢が溺死体として謎の死を遂げたのだ。 結果、兄は逃亡。残る家族は自宅を引き払い、引っ越しすることになった。 兄は13歳で来日、18歳で櫻子の前から消えた。 櫻子は35歳になっていた。法律事務所で働く櫻子のもとに、奇妙な依頼人が現れる。藤川綾乃と名乗った女性は中堅企業のセレブな社長婦人。夫の不倫に悩み相談に来た彼女の依頼を受ける。しかし、ある日、彼女も溺死体として発見される。 同じ頃、愛する兄が米国のデトロイト川で溺死体として発見される。 外務省からの連絡で、この事実を知り愕然とする櫻子。彼女は遺体を引き取りに単身、デトロイトへ向かう。そこで、同棲相手の先輩弁護士、五月端道隆の力を借りる。 彼の紹介で、デトロイトに住むバウンティハンター(賞金稼ぎ)であり私立探偵コービィ・ウィリアムと知り合う。 彼とともに、兄の溺死体を検視。さまざまな疑問を覚える。 兄ジオンは香港生まれで義父の息子だと思っていた。しかし、実際は中華の古い王家の血族として、理不尽な世界に生きる孤独で寂しい男だったのだ。 香港が中国へ返還される前、ジオンは王家の末裔として香港にある客家(はっか)の屋敷に母親とともに囚われていた。 屋敷を守るのは、サフィーバ財団。 サフィーバ財団とは、香港客家の支援をうけた長い歴史をもつ秘密結社である。王家の血筋を守り、その聖性を数百年以上も守ってきた家臣団の集まりでもあった。香港はサフィーバ財団の本拠地だったのだ。 1997年、香港が中国に返還される混乱のなか、12歳のジオンは母親に連れられて屋敷から逃亡。その後の極貧生活から、絶望した母はジオンを櫻子の義父に託して溺死した。義父も中華系の帰化人であり、サフィーバ財団の関係者だった。 一方、サフィーバ財団は香港返還後、急進派と穏健派に分かれ、内部での軋轢ができていた。王家の血筋を引く最後の王ジオン。彼を敬うことは同じだが、方向性が違った。 時代に合わせ、穏便に生きる道を探す穏健派はジオンの逃亡を助け、急進派と対立する。 そんななか、サフィーバ財団の急進派トップ、高浩然(ガオハオリャン)はジオンを躍起になって探していた。 ジオンは彼らが崇拝する王家最後の血族であり、有力客家からの支援を得るにはジオンの存在は不可欠だった。 櫻子はコービィと兄を調査する過程で、香港、日本、デトロイトと、次々と見つかる溺死体事件を知る。 すべての事件に兄が関わっていた。 ICPO通称インターポールから派遣された警官は、兄を連続殺人犯として調査。各国の協力を仰いでいた。 サフィーバ財団の急進派は、櫻子の存在を餌として王であるジオンを探そうとしていた。 財団急進派トップ、高浩然(ガオハオリャン)の罠にはまった櫻子は、凄惨な拷問を受ける。彼女とジオンは、敢然と罠に立ち向かい戦いを挑む。 この作品は、兄を探すために、カルト集団に立ち向かう櫻子の物語であり、また、「家族愛」「男女の愛」がテーマのミステリー作品でもあります。 ★この物語はフィクションであり、実在の人物や団体などとは、いっさい関係ありません。

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カクヨム2022/07/29
  • 現在の作品【完結】彷徨える王