あらすじ
貧乏子爵家に生まれたレオナルド・ルーカスは、土地の権利を我が物にしようと婚約を迫った悪役令嬢、マリア・フォーセットに虐げられていた。 しかし、貧乏の理由は領民に住みやすい環境を整えたいと父が税を格安にしている為である。 そんな誇らしい父と優しい母に、ちょっと過保護気味に育てられたレオナルドは、当然貴族間の駆け引きなんて知る由もない。 良くも悪くも純粋に育った彼に待ち受けていたのは"凍てつく仮面"と恐れられてきたスペディナ王国第二王子のアルト・スターリッジとの出会いであった。 自分を利用しようと企み近づいてくる人間に辟易していたアルトは、レオナルドの媚びへつらわない純粋な姿に心を奪われた。 アルトはレオナルドを屋敷に招待し、レオナルドの現状を知る。 「そんな扱いを受けるぐらいなら、私が君の身柄を引き受けよう」 とんでもない提案に驚くレオナルドであったが、アルトは名案だとその日のうちにフォーセット家に文書を送る。 そして、あっという間にレオナルドはアルトに買い取られるのだった。 満足そうにするアルトと、困惑するレオナルドの目の前にあるテーブルには王家直属のシェフが作りあげた料理達が並ぶ。 目を輝かせながら料理を口に運ぶレオナルドとは対照的に、黙々と作業的に食事をするアルト。 レオナルドが思わず美味しくないのか問うと、アルトは幼少期の頃から王家派と反王家派の争いや兄である第一王子派との衝突に巻き込まれてきた過去をぽつりぽつりと話し出す。 「この食事にも、俺のことを邪魔だと考える者に毒を仕込まれているかもしれない」 淡々とそう話すアルトを見過ごせる人間ではないレオナルドは、思わず彼を抱きしめながら言った。 「僕が貴方の心を溶かしてあげるから」 月日は流れ、ある日特待生として平民のウィル・カートライトが学園に入学してきた。 貴族とはいえ似た環境で暮らしていたレオナルドは親近感を覚え歓迎するが、学園にいる他の者達は"才能のある平民"を良く思うわけがなく。 貴族に囲まれていたウィルを見つけたレオナルドは、ウィルを助けだす。 襟元を掴まれ、ほつれてしまっていたウィルのボタンを手持ちの裁縫セットで器用になおすレオナルドに、ウィルはようやく警戒心を解く。 昔から貴族達に虐げられてきたウィルにとって、レオナルドは特別な存在となった。 ウィルとレオナルドな仲睦まじくしている様子を良く思わないアルトは、レオナルドに近づけまいと接触を増やしていく。 アルトがレオナルドを囲っていることに気づいた王家は、レオナルドに接近禁止令を出した。 アルトの婚約者を選ぶ際にレオナルドは邪魔だと判断したのだ。 アルトは抵抗するものの、レオナルドには王家の命令に逆らう手はなく。 惜しみながらアルトから距離を置くと、その隙にアルトは毒殺を謀られた。 犯人を探す日々のなかで思わぬ助っ人が現れレオナルドは驚くが、その助けもあって犯人を探し出す。 しかし犯人は解毒剤を持っておらず、昏睡状態となったアルトにレオナルドは後悔で泣き叫んだ。 その涙がアルトに触れた瞬間ゆっくりとアルトは目を開ける。 古来から伝わる、毒や呪いを打ち返す"聖女の力"を持つ者であったレオナルドを無下にはできない王家は、アルトとの婚約を許可するのだった。 心優しい主人公レオナルドに出会い、自分の感情を隠し続けたアルトが心を開いていく純愛ストーリー。 王子攻め×貧乏子爵家(平凡主人公)受けという王道なカップリング物ではありますが"誰も不幸な結末を辿らない"を目標に書き上げたハッピーな物語をぜひご覧ください。