あらすじ
9月の終わり、夏の残暑が消える頃。学校の屋上に1人佇む笠松葵さんは、僕にそう告げた。 「死ぬって、それは……っ」 泡を食う僕のことなんか、笠松さんは気にしない。 彼女はただ告げる。自分に巣くう虚しさの辛さにもう耐えきれないから死ぬのだと。伽藍洞な声で、彼女はそう訴えた。 だから、僕は意を決してこう提案する。 「だったらさ、その虚しさを無くせるものを探しに行こうよ」 その提案が、どれほど無意味であるのかを知っているというのに。 吹いた風は心を吹き抜けていく。冷たさだけを残して。 これは虚しさを抱えた者が寄り添い合うまでの物語。 秋風の寒々しさを慰める温もりを得るような、そんな物語。