あらすじ
「ん、あれ? ここは……え」
「やあ、目が覚めたかね?」
「あ、はい……あの、訊くのが何だか怖いんですが、その」
「訊きたいのは『どうして僕はこの薄暗い地下室のような場所で椅子に縛られているのですか?』かな?」
「はい……」
「周りをよく見たまえ、ここにあるのはそれだけじゃないぞ」
「え……うわ! そ、それって」
「そう、拷問道具だよ。鋸にメスに電動ドリル。
これは見慣れないと思うが歯茎に刺して電気を流す道具だ。
各種、取り揃えてある。因みに私のお気に入りは」
「誰か! 誰か助けてください!」
「無駄だよ。どうして猿ぐつわをしていないと思う?
叫んだところで外には聞こえないからさ」
「な、なぜ、僕が、こ、こんな目に」
「君が敵国のスパイだからさ」
「スパイ!? そんなはずは、だって……あ、あれ?」
「ふふふっ、気づいたかね? そう、君には記憶がない。そうだろう?」
「な、あ、あれ? どうして? 自分の名前も思い出せない……」