あらすじ
「もうサナーとの婚約は終わりにしたいと思うが…君はどう思う?」
サナーと婚約しているレイジオンがそう問いかけたのは、彼が信頼する臣下であるジークであった。
「ええ、もう十分かと思います。これまでの時間だけで、レイジオン様がそのお心を尽くされたという筋は通ることでしょう。それでもなお婚約を続けるお気持ちがわかないのなら、それはもはやサナー様に魅力がないからとした言いようがありません」
言ってほしい事の全てを言ってくれる、だからこそこのジークを臣下から外せない。そう感じているレイジオンは、やや上機嫌な様子を見せた。
「そうかそうか。君がそう言うのならそれが正しいのだろう。実は私も全く同じことを考えていたんだ。これほどに私が愛情を注いでやったというのに、それに答えないのなら問題はあちらにある。私は何も悪くないとな」
婚約破棄の裏たる理由は、自分が気にしている幼馴染との関係を優先するためだ。しかしそんなことを表に出すわけにはいかないために、何らかのほかの理由が必要だった。この理由なら、無理なく一方的にサナーの責任にすることができる。
「それじゃあ婚約破棄の準備に移ってくれ。もうこれは決定だ」
…しかしレイジオンは気づかなかった。この判断こそが、幸福はおろか破滅へと向かう第一歩であるという事を…