あらすじ
そこに栄光はなく、歓声もない。名誉もなければ当然、スポットライトなどもない。裏社会にかぎりなく近い世界ゆえに、日が当たる世界ですらない。
ただ、自分が闘いたいと思った相手と、挑み、合意が成立すれば、試合う。
真剣格闘士(リアル・バウター)と呼ばれる漢達(女もいるが)のその間にあるのは、暗黙の了解のみ。
すなわち、いちいち確認などしない、始まりは突然、勝ち負けは恨みなし、一生の障害が残るようなケガをしても自己責任・・・、その最たるものは、
ルール無用、というもの。
いつ誰が、何を使って始めたのかは知らない。多くはSNS上でまことしやかに囁かれる裏格闘の世界、それが、
リアル・バウト(真剣格闘技)と呼ばれるものだった。
剣道・居合道共に五段の警備員、上村勇吾は実はアマながらキックボクサーでもある。どちらも実力には定評があり、キックではジムの会長やトレーナーからプロテスト受験を奨められてもいる。
しかし反面、その何事も手を抜かずひたむきに取り組む性格が逆に災いし、剣道界では一部の指導者たちから異端児扱いされてもいた。
しかも最近理由は不明だが、町中で、道端で、突然ケンカを売られ気味に勝負を挑まれる事が増えたことが頭痛の種である。
勇吾は知らなかったが、彼はいつの間にかいつの頃からか、リアル・バウトの世界では名を知られたリアル・バウターになっていたのだった。
ある日居合の稽古中に勇吾は、仲村有美里という女子中学生から訪問を受ける。
有美里はひと言「あなたに弟子入りしたいです」と告げるのだった。
勇吾は難色を示すが、剣の師である長沢邦章からの助言もあり、渋々ながら受け付けることにする。
25才の青年武道家と14才の少女の奇妙な師妹(してい)関係は、ここから始まったのだった。
ひたすら前向きにひたむきに、まっすぐ生きる事の素晴らしさを、一組の男女の師弟関係を通して全ての生き方に悩む人々に、届ける。