あらすじ
しがない出版社のルポライターのこの俺、海藤と同僚の山野は
編集長の命令で豪華客船の旅に出ることになった。
が、ケチな編集長は一等室のチケットは一枚しかないと言う。
奴は編集長室でひらひらとそのチケットを俺たちに見せながらニヤニヤしていた。
本当は銀座かどこかの自分の愛人と行く腹積もりだったくせに
一枚しか手に入れられなかった上にフラれたことは俺も山野も知っている。
だが山野はそれを知らないふりをして編集長に媚びへつらった。
俺は山野のその顔も編集長の顔も反吐が出るほど嫌いだったので顔を背けていたが
どうもやる気なしと思われたのか、取材自体を外されそうになったので
結局、俺もおべんちゃらを言う羽目になった。
三流雑誌の食えないルポライターの弱いところだ。
それでも言葉遣い、引き出しの多さ、人の懐に入り込む処世術には自信があった。
俺は山野に圧勝したつもりだったが
しかし、一等室を手に入れたのは山野であった。
多分、俺の顔が良いから編集長が嫉妬したんだろう。チクショウ。