あらすじ
気まぐれな俺が図書室に向かうと、そこにはクラスメイトの地味な女の子がいた。沢城美鈴って言うんだ。毎日メガネとマスク着用。前髪は目を隠してしまうほどに長い。クラス内で浮いてて、不思議ちゃんって感じかな。ってか、髪で目が隠れているけど、読書に弊害はないのかって思う。
まぁーそんな彼女の秘密を、俺は知ってしまうんだ。
一つ目は、(言われなくても知ってたけど)友達がいないってこと。二つ目は彼女が実は……美少女ってこと。三つ目は、彼女が小説を書いてること。
で、問題は三つ目だ。
彼女が小説を書いてるってことを、俺以外誰も知らないんだとさ。
割と真面目に『墓場まで他人の秘密を持っていく方法』をネット検索しようと思っていると……。
「これもなにかの運命かもしれませんね」と彼女は微笑を浮かべ、「もしよかったら、あたしの小説を読んでくれませんか?」
こうして、俺と彼女は少しずつ少しずつ距離を近づいていくのであった。
で、問題が起きたのはそれから一ヶ月ぐらい先の話。
偶然通りかかった道端で女の子がしつこく絡まれていたのさ。
ときには俺だって、ヒーローになりたい日ぐらいはある。
本当に気まぐれな俺は女の子を助けたんだ。
「お礼をさせてください」と彼女は言うけれど……男はいつもクールに。
そのまま何も言わずに、俺は立ち去ったんだ。
カッコいいだろ? 惚れてもいいんだぜ。
で、のちのち。
その助けた女の子ってのが、学園のアイドル——花園咲だったようで……。
彼女はお礼をしたいと申し出て……物語(運命)の歯車が回り始めたってわけだ。
でも、彼女だけは最初から知っていたんじゃないかな。
これが人為的な犯行だってことに。これが仕組まれた罠だってことにさ。
だけど……あの頃の俺が……そんなことに気付けるはずがないよな。
本当、自分の気まぐれ加減にはもう懲り懲りだね。参っちゃうよ、まったく。