あらすじ
「ちょっと、邪魔だからあっちに行っててよ。…無能なくせに私の邪魔までするなんて、本当に存在価値のない女…」
わざとらしく私に聞こえる声でそうつぶやくのは、血のつながりのない妹であるリーフィア。…彼女は幼き頃から次期聖女として育てられていたらしく、自身もそれを疑ってはいない様子だった。それどころかこのように、自分が常に一番偉い事をさも当たり前かのように認識している。それゆえに彼女を快く思わない人も多い。
「まったく…リーフィアの邪魔をしないで頂戴。この子はあなたとは違って、ゆくゆくは聖女の座を引き継いで王子の妃となるにふさわしい子なんだから」
彼女の本当の母親、私にとっては義母にあたるエスティアが、そう口をとがらせながら言葉を発する。お父様もすっかり二人によって懐柔されてしまい、ここに私の味方は一人もいなかった。
――3か月後――
「…それでは、聖女となられる姫君に、婚約の覚書を…」