あらすじ
遥か未来。銀河系のとある居住可能惑星で繁栄を続ける人類だったが、そこはかつての母星ほどに、分厚い資源と生命圏を有していたわけではなかった。 欠乏する希少元素、減少していく生物多様性と環境復元力。突破口を求めて数多の企業が巨額の資金を投じ研究を続ける中、総合商社ナガン・スタンウェイはついに、宇宙の彼方に居住可能惑星を有する恒星系を発見。 この時点での最高の科学技術をかき集め、乗組員と開拓者を世代交代なしで送り込むための宇宙船、ロアノーク号が建造された。 だがボミキスまでの距離は三百光年。船内で半年ほどを過ごすうちに、船外では三百年を超える時間が経過する。彼らが通常空間に戻った時。眼下に広がるボミキスの大地には三百年の間にさらなる技術発展を成し遂げた人類による、後発の開拓団が既に先行者として独自の社会を築いていたのだ。 ロアノーク号の最年少メンバー、十三歳の少年ソラリス・アンバーダンは、彼らに占有が許された辺境の不毛な岩山地帯で、近隣の「領主貴族」エボリ家の息女レジーナと、奇妙な出会いをする――