あらすじ
現在から八年前、魔王は勇者ウィリスによって打倒された。
そのことに人々は歓喜したが、勇者だけは異なった理由で人目をはばからずに号泣する。彼はただ帰りたかったのだ。生まれ育った故郷であるカディスへ。
そして元勇者ウィリスは、故郷である片田舎カディスで汗を流していた。
しかし、ここで彼の素性を知る者は多くない。毎日のように村の老人たちのための雑用を行い、時たまスライムを駆除していた。そんなこともあってか、人々の中には彼を『雑魚のスライム狩り』と揶揄する者さえいる。
ウィリスの素性を知る者は、気遣いなどせず王都で暮らせばいいと言う者もいた。
だが、元勇者はそれを良しとせず、首を左右に振る。何故ならウィリスは、満足していたのだ。彼は元々世界の命運などには興味がなく、ただ手の届く範囲を守れればそれでよかった。
世界を救ったのも、その延長線の出来事に過ぎない。
だからこそ、ウィリスは大きな変化は求めない。
しかし、元勇者である彼を周囲が放っておくわけがなかった……。