あらすじ

幼なじみである湊那兎の家に泊まった夜、私の隣で哀切な水音がした。 吐息混じりに聞こえてくるその音に、私はドキドキしながら寝たフリをし続けた。 それから三年が経って、またいつも通り湊の家に遊びに行ったときのことだった。 夜になり互いに寝付いたころ、あのときの水音がまた聞こえた。 何かを求めるよう必死に鳴きながら、私の袖をギュっと握って離さない。 振り返って、「ねぇ、何してるの?」って聞いてやろうと思った。顔を見ながら「なんで、私の袖握ってるの?」って、追い詰めてやろうと思った。 でも、それはできなかった。 「カタツムリって性別ないんだって」 梅雨の時季になると、ふと思うのだ。 あんな風にドロドロと生きることができたなら。 私も湊の方へ振り向いて、同じように水音を響かせるのに。 もしかしたらお互い・・・・・・そういう「欲」が強いのかもしれない。 夜は、何度でもやってくる。 勘弁してほしい。

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カクヨム
カクヨム2022/05/03
  • 現在の作品雨宿りのフリをした