あらすじ

今から一年前の、二〇二二年突然《デザイア》が現れた。 承認欲求が具現化した《ドーパ》が、他人に認められたいという強い欲求を持った人間の心の隙間に入り込んで誕生する、ちょっと凶暴になった面倒な人間だ。 デザイアになったやつらは「認めろ!」「もっと見て!」と暴徒化して人が沢山いる街で暴れやがる。 《欲念》という赤いオーラを発しながら叫び続け、承認欲求が強い人間を探し出してはそれを伝播させ、どんどんと承認欲求のオバケを作り出していく。 デザイアの起こす事件はそのどれもが国家レベルで見たら可愛いものばかりだ。 通行人にSNSのフォローを求める。 過去の経歴(賞状、トロフィー)を持ち出して街中で叫ぶ。 名刺の裏に肩書を書きまくって街中で配りまくる。 創作している人間は自分の作品を「見て!」「読んで!」と印刷して街中にばら撒く。 売れないアイドルが路上で急に歌い出す、売れないダンサーが踊りだす。 運転テクニックを見せびらかしたい人が街中でドリフトをかます。 スタイルのいい女性は路上でミスコンを始め、筋肉質の男性はボディビル大会を始める。 知り合い(といってもフォロワーのフォロワーのフォロワー程度)に有名人がいると自慢する。 まさにSNS上でよく見る、くだらない行為だったりその延長線上にあるものばかりだけれど、この意思が具現化して人間に直接影響を及ぼすとなれば話はだいぶ変わってくる。 なにより社会生活的を脅かすという点においては対処は絶対だ。 そこで編成されたのが《S4》と呼ばれる。デザイア対策部隊だ。 アドミットという“ドーパだけ”を浄化させる特殊な武器で、デザイアとなった人間の鎮圧に向かうのが主な仕事。 そんなあたしたち仕事人は《デザイアバスター》と呼ばれ、今日も街に蔓延る行き過ぎた承認欲求をなんとかなだめる。 そしていつも思う。 この鬼ごっこはいつまでたっても終わらない気がするし、倒しても倒しても人が望む限り、湧き続けるのかもしれない。 そういう意味では過剰な発信や、同調性・危険性を煽る広告、必要以上のモノの氾濫。 これらもまた意思を持たないドーパなんじゃないかって。 この街は今日も欲望で満ち溢れている。

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カクヨム
カクヨム2023/05/15
  • 現在の作品デザイアバスター