あらすじ
このあらすじはネタバレを含みます。本編読了後に見ることを推奨します。 夏へと切り替わろうとする、雨の季節。残業帰り、雨の降る無人駅で終電を待つ私は、自らを雨女と名乗る不思議な女性と出逢う。その日から、雨の降る日にだけ、寂れた駅でその女性と出逢うようになった。終電が来るまでの間。お互いの人となりすら話せない短い時間が、いつしか私にとって心を満たす時間になっていった。 ある晴れた日、私は失敗続きで傷心し、自分が壊れそうになる。天気予報を裏切って自分を追い立てる雨に、私はふと雨の日に出逢う女性のことを思い浮かべる。目の前の雨と初めて出逢った日の雨を重ねた私は、心を満たしてくれるその時間を求めて駅へと走っていく。 駅へと辿り着いたとき、その場所には誰もいなかった。私は自分の勝手な思い込みに嫌気が差して、涙が溢れてきてしまう。 するとその涙を掬ってくれるように、一つの声が聞こえた。振り返ると、そこには雨の日に出逢う女性が立っていた。 心が満たされるのを感じた私はさらに涙を溢れさせてしまう。そんな私を女性は優しく慰めた。女性は私に降り注ぐ雨を柔らかな微笑みですべて晴らして、私はもう一度、笑うのだった。