あらすじ

幕末の江戸の片隅で、好まざる仕事をしながら暮らす相楽遼之進。彼は今日も酒臭いため息を吐いて、独り言の様に愚痴を云う。 かつては天才剣士として誇りある武士であったこの男が、生活に疲れたつまらない浪人者に成り果てたのは何時からだったか。 わたしが妻を死なせてしまった様なものだ──── 貧しく苦労の絶えない浪人生活の中で、病弱だった妻を逝かせてしまった。その悔恨が相楽の胸を締め付ける。 だがせめて忘れ形見の幼い娘の前では笑顔でありたい……自遊長屋にて暮らす父と娘、二人は貧しい住人たちと共に今日も助け合いながら生きていた。 世話焼きな町娘のお花、一本気な錺り職人の夜吉、明けっ広げな棒手振の八助。他にも沢山の住人たち。 迷い苦しむときの方が多くとも、大切なものからは目を逸らしてはならないと──ただ愚直なまでの彼らに相楽は心を寄せた。 自遊長屋の住人もまた相楽を思い遣り幸せを願った末に、相楽に寺子屋の師匠になってもらおうと決めるのだが…… そんな誰もが一生懸命に生きる日々のなか、相楽に思いもよらない凶事が降りかかるのであった──── ◆全24話 ◆他サイトにも掲載中

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小説を読もう2021/05/22
  • 現在の作品あの日、自遊長屋にて