あらすじ
「私の役目はただ一つ。お嬢様の身代わりとなり、彼女を守る事」 フォルテ王国でかつて“聖騎士”として脚光を浴びた舞台役者ロザリー=ヴェロッチェ。だが、劇団長であった父の死と共に役者の道は潰えた。落ちぶれたロザリーの元に舞い込んできた仕事は、侯爵令嬢フロレンツィア=エルメルトの影武者を務める事。フロレンツィアを狙う暗殺者から彼女を守り、その見返りにエルメルト侯爵に劇団再興の助力を得る。全ては再び華々しい舞台へと上がるため、ただ忠実に任務をこなすのみ――のはずだった。 「なっ、なんですぐにばれたんだ⁉」 完璧にフロレンツィアを演じるロザリーの元に、一人の男が現れる。フロレンツィアの政略結婚の相手、ブラムヘン領辺境伯ルートヴィッヒ=ベルクオーレン。 顔を合わせた瞬間、彼はロザリーを偽物だと看破した。それどころか、偽物であるとわかっているはずのロザリーを何故か執拗に構い始める。 「あいつはどうして私にばかり構うんだ?」 外面は篤実で温厚、なのにロザリーの前では横柄で傍若無人。思考の読めないその男にロザリーはただただ翻弄されるばかりだったが、次第に彼に心惹かれ始める。 己はただの影武者、決して彼を好きになってはいけない。だがどうやら、ルートヴィッヒにも密かな事情があるようで――。