あらすじ
あらすじ◆中年男・アツシは家族も友達も恋人もいない。金も夢も運もない。住んでいるアパートさえ津波に流され、アツシは避難所で生活を始める。 ある日、アツシは避難所の裏にある公園の汚いベンチで寝転んでいた。すると小学生の女の子・結衣が段ボールを持って現れた。段ボールの中には黒猫。捨て猫を拾ったが家で飼えないから、アツシに飼ってほしいと懇願する結衣。不本意ながら、飼う事になったアツシ。それをきっかけに、二人はよく公園で会うようになった。 ある時公園で、アツシは父親の健作に虐待され続けた昔を思い出していた。そこへ結衣が来る。しばらくして結衣の父親・郁太も現れる。途端に怯える結衣。結衣もまた郁太から虐待されていたのだ。郁太はアツシに「もう会うな」と恫喝し、結衣を連れて行く。結衣は地面に〈助けて〉とメッセージを残した。心配したアツシは、結衣の家へと向かう。 家までやってきたアツシを見て、怒る郁太。郁太は結衣を外に締め出すと、かわりにアツシを家の中に入れた。人目がない事を良い事にアツシを殴る。激痛に意識朦朧のアツシ。さらに郁太はアツシが持っていた段ボールから黒猫を掴むと、窓から投げ捨てようとした。 かつてアツシも子供の頃に拾った子猫を、父親・健作に投げ捨てられた事がある。さらに健作に、重い冷蔵庫を持ち上げさせられた事も思い出す。意識が混濁したアツシは、フラフラと歩き冷蔵庫を持ち上げた。郁太が怪訝な顔で「下ろせ」と反対側から掴む。だがアツシは冷蔵庫を抱えたまま突進した。「子供を虐待するような奴はクズだ!」と叫び、郁太を縁側まで押し込むと、そのまま庭に押し倒す。ガラスを突き破り、冷蔵庫に潰された郁太。 その後、警察が来て郁太の虐待が判明する。結衣と母親は郁太から離れる事になった。アツシは結衣が乗る飛行機を、いつもの公園で立ち小便をしながら見上げた。空は青く澄んで美しかった。