あらすじ

物語の十年前、主人公の少女「紗季」の母親が病気で他界した。母親の逝去以降、日に日に父親の様子がおかしくなっていく。二年後、妻との別離に耐えかねた父親が麻薬に溺れた結果、彼は殺人を犯して懲役刑を受けることになった。 物語は殺人から八年後、紗季が高校二年生の時から開始する。慈善活動に励んでいた紗季は、高校の教師である「水城」から家庭教師バイトの誘いを受ける。その教え子は、父親び殺人の被害者遺族「筑紫家」の次女だった。紗季は償いのため、その仕事を引き受ける。ただし、乗り越えた過去を掘り返すような真似はするべきではないと、己の素性を伏せたまま。 水城の紹介で筑紫家と接触した紗季は、贖罪を胸に勉学の指導に励む。紗季の真摯な人柄に筑紫家は心を許し、次第にその距離が縮まっていく。そんな中、教え子の姉「若菜」から一本の映画に誘われる。 それは、殺人加害者の再起を描いた映画だった。 それを見終えた若菜は、映画の内容に関する談笑から発展し、自身の境遇、つまり紗季の父親によって自身の家族を殺されていることを明かす。それは、紗季にとっては直視しがたい現実であったのに対して、若菜にとってはそれを明かせるだけ心を許したという証左でもあった。映画を機に距離が縮まった二人は、様々な時間を一緒に過ごすことになり、やがて、辛い境遇の中でも真っ直ぐに生きようとする人柄に惹かれ合い、互いに恋愛感情を抱くことになる。若菜より交際の申し込みを受けた紗季は、隠したままの己の過去に酷い葛藤を覚え、筑紫家の家族を殺めたのは自身の父親だと吐露する。 思いがけぬ事実に動揺した若菜は、心を整理するために紗季と距離を置く。父と友人、どちらの思いも捨てられなかった若菜は、悩んだ末に「紗季と共に罪を背負って生きる」決断を下して、紗季を許す。そして、再び紗季に想いの丈を打ち明けた。

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カクヨム
カクヨム2022/02/14
  • 現在の作品父が人を殺した。遺族に恋をした。