あらすじ

あらすじ(結末までのネタバレを含みます) 歴史ある城下町の片隅で、趣味の陶芸を楽しみながら静かに暮らしていた僕。 そんな僕の生活を異変が襲った。激しい地震のような振動現象や、陶器を焼くための灯油が水に変わるという怪異。それは、仮想物理システムの深刻な異常によるものだった。この町は、僕がプログラムして創り出した理想の仮想空間なのだった。 原因を突き止めるため、僕は仮想空間からログアウトして現実世界に戻る。そこは、地球を周回する宇宙船の中。長期間の航行に耐えるために搭載された仮想空間システムの中で、僕は暮らしていたのだ。 船は、宇宙ゴミの衝突による損傷を受けていた。このままでは、生命の維持に支障が出る。やむなく僕は、地球への降下を決断した。 降り立った地上は、砂漠に覆われていた。宇宙旅行の間に起きた最終戦争で、人類の大半が滅びていたのだ。その事実を受け入れられずに、僕は仮想空間で過ごしていたのだった。 人類のわずかな生き残りが暮らすオアシスの町に、僕は助けを求めた。女性ばかりが暮らすその場所で、水や食料の提供と引き換えに求められたのは、用心棒としての役目だった。呆れたことに、人類の生き残り同士は未だに争いを続けていた。 その町で僕は、一人の女性と恋に落ちた。ほんのわずかな間、幸せな日々が続く。だが、他の町からの攻撃が、全てを終わらせることになった。彼女は大きな怪我を負い、僕は宇宙船の管制システムを使って、報復の反撃を行った。一つの町が消失し、また多くの人間が命を落とすことになった。 しかし、全ては仕組まれていたことだった。彼女は僕を戦闘に参加させるために与えられた「餌」だったのだ。 その事実を知ってしまった僕は、誰にも何も告げずに、修復の完了した宇宙船に戻る。そしてそのまま、再び地球から離脱することになった。 僕の戻る先は、仮想空間の中にしかなかった。再び手に入れた、理想の人生。僕が死んだ後も、この美しい世界は数億年に渡って残るだろう。

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カクヨム
カクヨム2020/05/31
  • 現在の作品【完結】この世界を守るために ~リアル・ワールド往還記~