Synopsis
入るときには、確かにくぐった。
帰るときには、くぐらなかった。
大学二年生の水原葵は、三人の友人とともに山奥の廃神社へ肝試しに訪れる。
境内でひとしきり騒いだ四人は、帰り際の些細な悪ふざけから、鳥居を通らず脇道を抜けてしまう。
翌朝、友人の一人から怯えきった声で電話がかかってきた。
「お母さんが、動かないの」
駆けつけた家には、生活の途中で静止した人々がいた。呼びかけても、触れても、決して動かない。ただ、その眼球だけが、何かを訴えるようにこちらを追い続けている。
やがて異変は街全体へと広がり、友人たちが一人、また一人と姿を消していく。
止まった時間。歪んでいく風景。見えない何かに追われながら、葵はすべての始まりである廃神社への帰還を目指す。
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