Synopsis
放課後の校舎に響く、細くて澄んだリコーダーの音。
その音を奏でるのは、同じクラスの はずきちゃん。
僕は毎日、音楽室の前で彼女の音色を聞いてから帰るのが日課だった。
高い音は風のように軽く、低い音は胸の奥に落ちてくる。
その音を聞いているだけで、僕の放課後は満たされていた。
しかしある日、音は突然途切れた。
「今日は休みだから」と笑った彼女は、翌日も、その次の日も現れない。
静まり返った音楽室の前で、僕はただ音の残像を探し続けた。
やがて知らされる――
はずきちゃんは、急な事情で転校してしまったのだと。
もう聞こえないはずの音色が、耳の奥でずっと響いている。
夕焼けの校庭に立ちながら、僕は思う。
僕はきっと、これからもずっと、
リコーダーを吹く君の残像を追い続ける。
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