Synopsis
「あなたは毎晩、寝言で国の言葉を言う。……帰る、という意味だそうだ」
海の向こうの国から、条約の証として公爵家へ嫁いで二年。
この家では、わたしの国の言葉も、わたしの名も使えない。
口にできるのは、作法の本にある文だけ。
無口な夫は、わたしを国へ帰すと言った。
離縁の咎は、自分が負うと。
七日後は、別れの食卓。
誓いは、この国の言葉で言わなければならない。
起きているわたしの言葉は、まだ一度も、あの人に届いたことがない。
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