Synopsis
叔父さんが夜逃げした日、ちゃぶ台にはメモが一枚と、三千万円の借金が残されていた。
翌日、僕は百年続く女子校・聖百合学院の入学式に座っていた。業務内容はただ一つ――直接接触することなく、神無月グループのお嬢様を陰から守ること。期間は三年。やり遂げれば、借金は帳消し。
女子三百人以上に、男子七人。隣の席の体育特待はでっかいゴールデンレトリバーみたいなやつで、入学初日の朝六時から他クラスの男子を数えに行く。園芸部のあの子は僕に自主退学を勧めたくせに、花壇の前にしゃがんで苗に「今日もちゃんと育ってね」と話しかけている。王子様系の先輩は僕より頭半分も背が低いのに、首の前でカッと線を引いてみせた。
そしてお嬢様は――放課後、ひとりで駅前の古本屋へ歩いていく。
僕も行く。業務マニュアルにこうある。送迎に異常があった場合は確認すること。
三千万の借金を抱えた人間に、友達を作る暇なんてない。
だから、どうか僕の友達にならないでください、神無月お嬢様。
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