Synopsis

「涙ってしょっぱいのにさ、なんで海の水は目に沁みるんだろ」 「わからんねえ」 「ま、調べりゃいいんだけど」  だらしなく席に座る空戸《そらと》はスカートのポケットからスマホを取り出して電源ボタンを押す。  教室で堂々とスマホを取り出している彼女を見て、私たちは本当に明日この高校を卒業するのだと実感する。  ちくり、と細い針が私の心を触った。空戸は卒業したら東京で一人暮らしを始めるのだ。 「空戸、これから一緒に海行こう」  私は短く提案する。空戸は眉を寄せた。   「えー寒くない? てかなんで海」 「思い出がほしいのよ」 「ほお、どんなのがいいんだい?」  空戸に尋ねられて、私はすぐに口を開いた。  欲しいものは決まっている。 「眩しくて、鮮烈なやつ」 「ふーん鮮烈ねえ」  空戸は誰ともなく呟いて、にやりと口角を上げた。  彼女の目が私を捉える。 「いいね、行こう」

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Every Star10/31/2026
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