Synopsis
悲しいなら、悲しまなくていい。
怖いなら、怖がらなくていい。
感情を薬で調整することが当たり前になった、少し先の未来。
不安を和らげるキャンディ、集中力を高めるラムネ、失恋の痛みを薄めるチョコレート――。
人々はそれを「エモーション・バイト」と呼び、日常的に口にしていた。
そんな世界で暮らす17歳の少女・佐倉アカネは、父の命日に一粒の黒いチョコレートを食べる。
翌瞬、彼女から消えたのは記憶ではなかった。
父の顔も、声も、一緒に過ごした時間も覚えている。
それなのに――
父を「大切だ」と思っていた気持ちだけが、分からない。
そして、そのチョコを見た母は告げる。
「それは、市販されてない」
未完成の感情遮断薬《AM-01》。
謎の組織からの追跡。
感情菓子を開発した母の秘密。
そして、アカネの赤い髪に隠された過去。
感情は、消せば楽になれる。
悲しみがなければ、人は幸せになれる。
――ならば、愛することで生まれる痛みも、いらないものなのか。
一粒のチョコレートから始まる、感情と幸福をめぐる近未来サスペンス。
『EMOTION BITE』
そのひとくちで、大切だった人が、他人になった。
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