Synopsis
四十五歳の山下直樹は、十四年勤めた不動産会社の倒産を機に職を失い、現在は県立病院の夜間警備員として働いている。
住宅ローンを抱え、妻との関係は冷え切り、高校一年生の娘・凛とも二年半まともに会話をしていない。
一方、十五歳の凛もまた、大切なものを失っていた。
小学生の頃から打ち込んできたバスケットボール。中学最後の夏、膝の怪我によって大会出場を断念し、そのまま競技から離れた。受験を終え高校へ進学したものの、夢中になれるもののない日々が続いていた。
そんなある朝、凛は自宅のクローゼットの奥から、一本の古い黒いストラトキャスターを見つける。
それは、かつて直樹が弾いていたギターだった。
凛は高校の軽音楽部へ興味を持ち、初めてギターを手にする。
そして娘にギターを教えることになった直樹もまた、長い間忘れていた感覚を少しずつ思い出していく。
コードが鳴ったときの喜び。
仲間と音を合わせる楽しさ。
昨日できなかったことが、今日できるようになる感覚。
やがて凛は同世代の仲間たちとバンドを始め、直樹もまた、それぞれ異なる人生を歩んできた大人たちと出会っていく。
これから夢を見つけていく十五歳。
一度は夢を見ることをやめた四十五歳。
父と娘、それぞれの場所で始まった二つのバンド。
音楽を通じて二人は、仲間、自信、家族との時間、そして人生への情熱――失ってしまったものを少しずつ取り戻していく。
人生は、一度止まったら終わりじゃない。
もう一度、音を鳴らすことはできる。
これは、父と娘、二人の「再始動」の物語。
もう一度、最初のコードから。
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