Synopsis
魔物と魔族が存在する世界、アルカディア。
十八歳の少年・レインは、剣も魔法もまともに使えない落ちこぼれだった。
ただ一つ、彼には奇妙な力がある。
どれほど傷ついても、死ぬことができない。
剣で貫かれても、炎に焼かれても、毒に侵されても死なない。
だが、痛みはある。
傷も負う。
そして何より――不死であることは、強さを意味しなかった。
ある日、故郷の村を魔物の群れが襲う。
そこで仲間を失ったレインは、初めて自分の中に見知らぬ炎の力が宿っていることに気づく。
それは、死んだ仲間が使っていた力だった。
仲間が死ぬ。
そのたびに、レインは新たな力を得る。
しかし、受け継げるのはほんの一部。
だから、どれだけ仲間を失っても、レインが最強になることはない。
ただ、生き残る。
また一人失う。
少しだけ強くなる。
そしてまた、生き残る。
――その繰り返し。
「もっと強くなりたい」
そう願うほど、胸の奥に一つの恐ろしい疑問が生まれていく。
自分が強くなるためには、誰かが死ななければならないのか。
やがてレインは、自分の不死が単なる祝福ではないことを知る。
死者の力。
死者の記憶。
そして、五百年前から隠され続けてきた「灰冠の王」の真実。
すべてが一つにつながったとき、レインは知ることになる。
自分が死ねない理由。
仲間が死ぬ理由。
そして――
この世界が、なぜ「死」を必要としているのかを。
これは、最強の英雄になる物語ではない。
弱い少年が、仲間を失い続けながら、それでも生きることを選び続ける物語。
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