Synopsis

三十二歳、会社員。 仕事ではエース。冷静沈着、判断も早く、上司からも後輩からも頼られる男。 そんな彼には、誰にも言えない夢がある。 ――完璧なラスボスになりたい。 小学生の頃から二十年以上。 「ラスボスなら取り乱さない」 「ラスボスなら強くなければならない」 「ラスボスなら無知では格好がつかない」 ただそれだけの理由で、身体を鍛え、知識を蓄え、精神を磨き続けてきた。 そして彼には、もう一つ秘密がある。 幼い頃から眠るたびに見る、異様なほどリアルな夢。 剣と魔法、勇者と魔王が存在するその世界で、彼は現実では決してできない「完璧なラスボス」を思う存分演じていた。 勇者を圧倒し。 意味深な言葉を残し。 時にはあえて敵を生かして帰す。 すべては最高のラスボスになるため。 ――本人にとっては、ただの夢だった。 彼は知らない。 その世界が、本当に存在していることを。 現実で一夜が過ぎる間に、向こうでは長い年月が流れていることを。 そして彼が遊び半分でラスボスを演じ続けた結果―― 異世界ではすでに千年以上にわたり、決して老いず、歴代の勇者を退け続ける《邪神》として恐れられていることを。 これは、本人だけが何も知らない物語。 今日も彼は会社で仕事を片付け、家へ帰り、眠りにつく。 今夜もまた――ラスボスになるために。

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Kakuyomu
Kakuyomu09/26/2026
  • Current千年の邪神は今日も会社へ行く