Synopsis

【あらすじ】 可能性が現実になる前の場所――観測界。 そこでは、無数に存在する未来が観測され、やがて一つの世界へと確定していく。 しかし、どれほど観測しても確定せず、揺れ続ける領域が現れた。 その原因を探るため、悠真、陸央、ミナの三人は、人間たちが暮らす可能性界へ降下する。 忘却の門をくぐり、悠真はユウに、陸央はリクになった。 二人はすべての記憶を失い、ただ一人、案内役のミナだけが過去を覚えている――はずだった。 だが、ユウとリクは同じ夢を見る。 青い光。 誰も座らない教室の空席。 そして、記録のどこにも存在しない「四人目」の気配。 やがてミナのノートに、自分の筆跡で一行の文字が現れる。 『約束は三人でした』 その言葉を読むたび、三人の胸に同じ違和感が生まれる。 本当に、三人だったのだろうか。 消された名前。 思い出してはいけない記憶。 世界が一つに決まるとき、選ばれなかった未来はどこへ行くのか。 これは、失われた記憶を取り戻す物語ではない。 すべてを忘れた者たちが、誰にも答えを教えられることなく、かつてと同じ問いへ辿り着いていく物語。 そして、世界が分かれるよりも前に交わされた、終わらない約束の物語。 【まえがき】 一つの物語が、 一つの世界だけで起きているとは限りません。 この物語を書き始めたとき、 前作『不完全な世界の残し方』とつながっていることだけは、分かっていました。 けれど、どこで、どのようにつながるのか。 それは、書いている私にも分かりませんでした。 物語が進むほど、二つの世界は離れていくように見えました。 登場する人物も違う。 世界の成り立ちも違う。 流れている時間さえ、違うように見える。 途中で私は、何度も思いました。 この物語は、本当に前作とつながっているのだろうか、と。 けれど、同じ場所から生まれた流れが、 いつも同じ速さで、同じ道を進むとは限りません。 先に進む流れもあれば、 大きく遠回りする流れもある。 離れているように見えて、 時折、触れ合うこともある。 そして、どこかで同じ問いに辿り着くこともある。 これは、記憶を失った者たちの物語です。 けれど、本当に失われたのは、記憶なのでしょうか。 前作を読まれた方も、 この作品から読まれる方も、 まだ答えを決めずに、彼らと一緒に歩いていただければと思います。 物語の終わりに見える景色が、 それまで読んできた世界を、 少し違って見せてくれるかもしれません。

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Kakuyomu
Kakuyomu09/26/2026
  • Current記憶を失う前の約束