Synopsis
「事故物件により、家賃は他の部屋より破格」
仕送りなしの貧乏大学生、小森由鶴にとって、その安さは最大の正義だった。
幽霊なんて、見えなければただの格安物件だ。
そう自分に言い聞かせ、トントン拍子で契約を済ませる。
だが、不気味に微笑む不動産屋は言った。
「このクローゼットだけは絶対に触らないで下さい。テープは剥がしたんですが……開かないんです」
入居当日。
激しい土砂降りの雨の中、由鶴の周囲で少しずつ「異常」が始まりを告げる。
宛先不明のメールに添付された、自分自身の後ろ姿。激しく点滅を始める蛍光灯。
そして──開かないはずのクローゼットの『内側』から響く、狂気的なノックの音。
パニックに陥る由鶴が「見えなきゃいないのと同じ」と必死に呪文を唱えたとき、耳元でケラケラと笑う声がした。
「イなイ、の、とおナ、じ?」
逃げ場のないワンルームで、由鶴は最悪の夜を迎える──。
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