Synopsis

語り手は、旅行鞄の持ち手に付いた小さな真鍮の鈴です。目がないので、音だけで世界を見ています。 持ち主は藤谷ちはる、二十九歳。旅と、旅先での出会いが好きな会社員です。手帳の表紙の裏に「命は短し走れよ乙女」と書いてあるそうです。本当は「命短し恋せよ乙女」という歌なのですが、七年前から間違えたまま、毎年そう書き写しては走り続けています。 今回は秋の柿沢へ二泊三日。宿の名前は霧屋といいます。 その三日間に起きたことは、全部わたしに聞こえていました。けれど、鈴には口がありません。

Serialization Info

Web Novel

Service languages
Syosetu wo Yomou
Syosetu wo Yomou09/21/2026
  • Currentめじるしの鈴 柿沢の紅葉――鞄の鈴は、持ち主の恋が実らないのを七年、音だけで聞いています