Synopsis
祈りの国ホウズイでは、祈祷院の祈りを受けた田は必ず大豊作になる。帳簿の上では。
検見院の最下級見習い、土師早苗(19)は農家の四女。土と米と握り飯に育てられた。仕事は、黄金色の田を眺めて判を押すだけの簡単なお役目のはずだった。
ところが早苗は気づいてしまう。その稲穂、一本も頭を垂れていない。
落ち穂を拾い、卵を浮かべた塩水に籾を落とすと、ほとんどが浮いた。中身のない、空っぽの籾だった。
「豊作」を信じれば村は冬に飢える。規則を破れば祈祷院を敵に回す。
「規則は守ります。でも、ご飯が食べられなくなる人のほうが困るので」
相手は表情筋が休職中の上司・檜垣玄。数字と規則の鬼と呼ばれる彼は、七年前のある帳簿に、消せない自分の字を残していた。握り飯ひとつで国の勘定をひっくり返す、しぶとくて腹ぺこな検見劇の開幕です。
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