Synopsis
その町では、夜になると時計の針が少しだけ遅れる。
正確には、町の中心にある古い塔時計だけが、毎晩十二時になる直前に三分間止まるのだった。
誰も理由を知らない。
時計職人は何度も内部を調べたが、歯車にもゼンマイにも異常はなく、まるで「止まることを選んでいる」ようだったという。
そして、その三分間のあいだ。
町の人々は決して窓を開けてはいけない。
そういう古い言い伝えがあった。
なぜなら、その時間に外を見ると――
「月影館」が見えるから。
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