Synopsis
「イリス・ラヴェル。今夜をもって、君との婚約を破棄する」
二十年ぶりに隣国の使節団を迎えた宴の真ん中で、王太子殿下はそうおっしゃいました。お隣には、わたくしの義妹。
使節の皆さまにお伝えしようとしたわたくしに、殿下は続けます。
「君の声など聞きたくない。今夜はもう一言もしゃべるな」
一言も、でございますね、と確かめましたら、「一言もだ」と。
この夜のために、六年かけて磨いてきた言葉でしたけれど。
承知いたしました。では、一言も。
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