Synopsis
動けない。
それがタンポポである吾輩の、どうにもならぬ現実である。
旅に憧れても、自分では一歩も進めない。
だから吾輩は、綿毛となった子孫たちにすべてを託すことにした。
風に乗り、遠くへ行き、どこか良い土地で根を下ろしてほしい。
だが現実の旅立ちは、親の期待ほど立派でも思い通りでもない。
低木に引っかかる者、水たまりに落ちる者、妙な方角へ飛んでいく者。
それでも見送るしかない。
これは、一歩も動けぬタンポポが、旅に出ることのできないまま子孫たちの門出を見守る話である。
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