Synopsis
「——僕はキミで……お前はオレだったんだな」
それは、いつか訪れる最悪の融和の予兆だったろうか。
優しくお人好しな青年の声と、凍りついた瞳を持つ青年の声。決して交わるはずのなかった二つの声音が、奇妙に重なり合い、融け合いながら、数式すら届かない虚無の空間に反響した。
世界が産声をあげるより遥か昔。あるいは、人間たちが過ちを重ねて世界が死に至る、ほんの少し前。そこには、感情を持たず、ただ世界の観測を続ける、冷徹で巨大な『意志』があった。
その意志はあまりに強大で、あまりに孤独だった。傷つき、枯れ果てていく世界を見つめながら、その意志はただ「やり直すこと」だけを願った。汚れのない、誰も傷つかない、完璧に美しい楽園をもう一度創り出すために。
しかし、その圧倒的な光を、たった一つの人間の肉体に収めることは不可能だった。世界を創り直すための大いなる力は、器へ注ぎ込まれるその瞬間に、激しく爆ぜて二つに引き裂かれた。
一つは、無から有を生み出す、眩き『創造』の光。
もう一つは、すべてを無へ還す、禍々しき『破壊』の闇。
それは、決して交わらぬ双極でありながら、片方が欠ければ存在すら許されない、あまりに不完全な『半分』同士。
光の青年は、自分がどこから来たのかを知らない。ただ、世界のために戦うことが自分の正義だと信じ込まされ、傷一つ残らぬ奇妙な肉体に数多の激痛を溜め込んでいった。
闇の青年は、自分が何者であるかを知らない。ただ、世界から拒絶され、戦うたびに大切な記憶を失いながら、黒い羽根の灰にまみれて荒野を彷徨った。
これは、神の理に抗い、今を必死に生きようとした人間たちの、反逆の足跡。これは、白き天使の片翼と、黒き天使の片翼が、再び出会うまでの物語。
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