Synopsis
この世界には、「失敗魔法」と呼ばれる魔法が存在する。
威力が足りない。
形が崩れる。
まともに発動しない。
完成した魔法の出来損ないとして、誰からも見向きもされない魔法だった。
少年カイル・アルヴェルも、幼い頃はそれを疑ったことがなかった。
ただ一人――失敗魔法を研究していた母を除いて。
「失敗魔法って言うけど、本当に失敗なのかな?」
しかし七歳のある日、カイルの故郷は謎の集団によって襲撃される。
家族も、友人も、当たり前だった日常も失ったカイルに母が最後に託したのは、一冊の古びた本だった。
「これがあれば、あなたは生き延びることができるはず」
その言葉の意味を知らないまま、カイルは一人生き延びる。
それから八年。
剣を学び、母の遺した本を読み、失敗魔法と向き合い続けたカイルは十五歳になっていた。
彼が向かうのは、魔法騎士団。
目的は英雄になることではない。
なぜ故郷は滅ぼされたのか。
母は何を研究していたのか。
そして、誰もが役に立たないと切り捨てる「失敗魔法」とは、本当に失敗なのか。
磨き続けた剣と、誰も見向きもしない魔法を手に、カイルは八年前の真相を追い始める。
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