Synopsis
草花にまるで興味のない宮田茜が、高校の園芸部に居座り続けている理由はただ一つ。一学年上の部長・森樹の、あの横顔が好きだから。
樹は植物のことなら何でも知っている。育て方も、世話の仕方も、花言葉も。けれど人の心の機微にはとことん疎く、隣で心を乱している茜にはまるで気づかない。
そんな二人が営む部活は花壇の世話だけにとどまらない。
転校生に贈る花を選んだり、育てた野菜を料理部に届けたり、びわを加工して茶道部の茶請けにしたりと、日々は静かに、けれど賑やかに過ぎていく。
そんなある週末、茜の祖母・千代の庭仕事を手伝うことになった二人。千代には長年気にかかっていることがあった。亡き夫が遺した贈り物を、庭のどこかに埋めたはずなのに、その場所がどうしても思い出せないのだという。
唯一の手がかりは、紫陽花。樹はそこに何かを見出したようで――。
茜の想いの行方と、何十年越しの謎の答え。二つの糸が静かに絡み合う、ある部活の物語。
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