Synopsis
貧乏男爵家の娘、リリア・ノルンは、王国竜騎士団の竜舎管理局で働くしがない下級職員。
そんな彼女には、七年間ずっと片思いしている人がいる。
国最強の竜騎士にして、公爵家当主。
冷徹と恐れられる竜騎士団総隊長――レオンハルト・アークレイ。
身分も、立場も、住む世界さえ違う。
遠くから眺めていられるだけで十分。
そう思っていたリリアの日常は、ある日突然ひっくり返った。
数百年ぶりに誕生した、伝説の聖獣――白銀竜の赤ちゃん。
誰にも懐かなかったその子が、なぜかリリアの腕の中でだけ眠ってしまったのだ。
「この子の養育を、君に任せたい」
そう告げたのは、ほかでもないレオンハルトだった。
しかも聖獣を安全に育てるため、リリアは彼の暮らす公爵邸へ住み込むことになってしまう。
好きな人と同じ屋根の下。
一緒に朝食を食べて。
二人で聖獣の夜泣きに付き合って。
疲れて眠ってしまえば、そっと毛布を掛けてくれて。
怪我をすれば誰より心配してくれる。
冷たい人だと思っていた彼は、どういうわけかリリアにだけ、とても優しい。
――でも、勘違いしてはいけない。
彼が大切にしているのは、国の宝である聖獣。
自分が大切にされるのも、その子の「お世話係」だから。
いつかこの子が大きくなれば、この暮らしも終わる。
だから、それまででいい。
ほんの少しだけ、好きな人のそばにいさせてほしい。
そう自分に言い聞かせるリリアは知らない。
レオンハルトが七年前から、たった一人の女性を想い続けていることを。
そして今回のお世話係への指名に、ほんの少しだけ――いや、かなり――彼の私情が混じっていたことを。
これは、聖獣さまのお世話係になった貧乏男爵令嬢と、
彼女をそばに置きたいのに肝心なことだけ言えない冷徹総隊長の、
一匹の小さな竜に振り回されながら、七年越しの片思いを実らせるまでの物語。
Serialization Info
Web Novel