Synopsis
ゲームの記憶を取り戻した貴族の息子ユアンには、どうしても逃げたい結末がある。竜の冠を被って暴走し、勇者トマに首を斬られるのだ。
父のもとを抜け出した朝、そのトマに財布を盗まれた。
まだ勇者でも何でもない男は、口が悪くて、金に困っていて、剣だけはやたらと上手い。ユアンは名を偽り、二人一組の剣技祭へ誘う。優勝賞金は金貨十枚。相棒になれば、殺されずに済むかもしれない。
「落ちても、金は返らないからな」
「落とすな」
ところが、トマの家で出された椀の底には、見覚えのある印があった。その家から工房を奪ったのは、自分の嘘だった。
勝って金を分ける約束だけは、嘘にしたくなかった。
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