Synopsis
高校一年生の神谷湊には、金がない。
財布の中身は数千円。
欲しいものがあっても、小遣いと相談するごく普通の高校生だった。
――あの夜、スマホを握ったまま眠るまでは。
目を覚ました湊が立っていたのは、スマホの中。
アプリを抜け、ネットの世界へ。
そして偶然たどり着いた先で湊が目にしたのは、無数の光が行き交う巨大な「道」だった。
その正体は――ブロックチェーン。
取引は光となって道を駆け、ウォレットは金庫となり、流動性は巨大な貯水池となって見える。
しかもスマホの中では、現実よりも時間がゆっくり流れていた。
「これ……普通に取引するより速くないか?」
湊が用意した元手は、たった5,000円。
最初は数百円の利益だった。
しかし、眠るたびにブロックチェーンの道を歩き、世界中を流れる金を目の前で見ながら取引を重ねるうち、その金額は少しずつ大きくなっていく。
もちろん、未来が見えるわけじゃない。
暴落することもある。
判断を間違えることもある。
ラグプルに遭えば、容赦なく金を失う。
そしてようやく大金を手にした湊は、重大な事実に気づく。
「……待って。USDTって、どうやって日本円にするんだ?」
ネットの中では金持ち。
現実では、今日も小遣いで生活する高校一年生。
これは、寝ている間だけスマホの中に入れる少年が、たった5,000円を手にブロックチェーンの世界へ飛び込み――やがて想像もしなかった場所まで辿り着く物語。
Serialization Info
Web Novel