Synopsis
地表から千二百メートル。かつて「ユートピア」と呼ばれたその場所は、太陽の光が届かなくなって三十年が経つ今も、名を変えて稼働を続けていた。
正式名称はない。住人たちはただ「穴底(あなぞこ)」と呼ぶ。地上の戦争と災厄から逃れた人々が掘り進んだ巨大な縦穴の底に築かれた、垂直に積み重なる都市。上に行くほど富み、下に行くほど貧しく罪人が集まる。そして最下層――第九層には、光の届かぬ闇の中で蠢く「償却機関(オフセット・ビューロー)」がある。
償却機関とは、簡単に言えば「罪を抹消する最終手段」だった。
人は誰しも罪を背負って生きている。殺したこと、裏切ったこと、見捨てたこと。穴底では、その罪の重さがそのまま「負債」として記録される。負債が一定を超えた者は、己がその罪に耐えきれなくなり、罪はかたちを持った異形――「業影(ごうえい)」となって、街のどこかを彷徨いはじめる。
だが償却機関に「罪」を売れば、その負債は帳消しになる。かわりに、その分の罪はかたちを持った業影となって、街のどこかを彷徨いはじめる。それらの業影を狩り、完全に消し去るのが、「清算機関(クリアリング・ハウス)」に所属する者たち「清算人」の仕事だった。
十話程度で完結する予定です。
投稿した日から毎日22:40に投稿します
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