Synopsis
坂の途中の珈琲屋に、常連が「隠れ家」と呼ぶ三畳の個室がある。話を聞いてもらう部屋、ということになっていて、値段だけ誰も教えてくれない。
高校三年の柚木遥は、九つ上の人に送るメッセージを、半年のあいだ一度も自分で書いていない。
高校二年の岡湊は、部屋に入ってきた人の話を、母が二十年かけて書いたノートの通りに聞いている。
水曜日、遥がその部屋に入る。湊がその日に喋ったのは、四つだけだった。
「明日も来ようかな」
「来てもいいですけど」
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