Synopsis

血を一滴、捧げれば、火が灯る。傷が癒える。 そんな小さな魔法が、暮らしのそこかしこにある世界。 レイラは、その魔法を、戦うために使っていた。 幼い頃から戦場で育ち、誰よりも強く、誰よりも正確に戦う少女。 人は彼女を、恐れを込めて「戦姫」と呼んだ。 けれど、終わりの見えない戦争のさなか、師匠は彼女を戦場から連れ出した。 「この子は、戦のない世界にいた方がいい」——ただ、そう信じて。 連れてこられたのは、とある貴族の屋敷。 レイラの新しい仕事は、メイド。主人は少し不真面目で、優しく、若き当主ノエルだった。 掃除、洗濯、料理。どれも完璧にこなすレイラだけれど、一つだけ、できないことがあった。 「シエルは、どうしたいの?」 主人の何気ない問いに、彼女は答えられない。 嬉しい、悲しい、楽しい——そういう感情の名前を、彼女はまだ知らない。 知らないだけ。心がないわけじゃない。 祭りの灯り。初めての賑やかな食卓。名前を持たない少年との出会い。 少しずつ、本当に少しずつ、レイラは「人の心」を知っていく。 ——けれど、戦争は終わっていない。 銀髪のメイドにまつわる噂は、静かに街に広がり始めていて。 戦うことしか知らなかった少女が、はじめて「自分の明日」を選ぶまでの、切なくてあたたかな物語。

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Syosetu wo Yomou
Syosetu wo Yomou09/03/2026
  • Current戦姫メイド